2017 Fiscal Year Annual Research Report
アウタースペース/インナースペース/インタースペース・アートの美学
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17H02286
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
前川 修 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (20300254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 秀雄 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00324393)
古賀 一男 京都ノートルダム女子大学, 心理学部, 教授 (30089099)
水野 勝仁 甲南女子大学, 文学部, 講師 (30626495)
大橋 完太郎 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (40459285)
森 公一 同志社女子大学, 学芸学部, 教授 (60210118)
松谷 容作 同志社女子大学, 学芸学部, 助教 (60628478)
岩城 覚久 近畿大学, 文芸学部, 講師 (60725076)
増田 展大 立命館大学, 先端総合学術研究科, 非常勤講師 (70726364)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 宇宙 / バイオ / メディア / アート |
Outline of Annual Research Achievements |
理論研究/事例研究に分けて説明する。 理論研究:①生命・自然班/②映像班/③知覚・脳科学班のうち、①生命・自然班では、バイオアートおよび宇宙生物学/宇宙生命科学の成果を蓄積・集約する作業を行った。②映像班は、6月に日本映像学会共催シンポジウム「宇宙×映像」(6月3日、於神戸大学)を開催し、JAXAからの関係者も招聘し、宇宙を見る技術と映像の根本的な関わりを検討し、いくつかの論点を提起した。また、1月には映像研究者(渡邉大輔)と美術批評家(土屋誠一)を研究会に招き、広くモビリティーズ(移動性)という観点から写真映像の帯びる問題を検討した(1月27日、於神戸大学)。③知覚・脳科学班では、11月の定期的な会合で②と③の接続可能性を検討するとともに(11月26日、於同志社女子大学)、1月には重力に関する身体感覚をめぐる作品制作の展覧会(「between:connection in sensory space」、1月7日~21日、於ARTZONE)とそれに関するトークイベント(「-6°:地上で体感する宇宙」(司会:松谷容作、登壇者:古賀一男、真下武久)を開催し、また同じ1月にはフランスから『アートマシーン』編者でも知られるアンヌ・ソバニャルグを招き、メディアとアートに関する議論を行った。さらに研究代表者および研究分担者の5名(岩城、増田、岩崎、松谷、前川)が海外の研究会で関連する成果の報告や講演を行っている。 事例研究:各研究会・学会に応じて資料を恒常的に蓄積し、これを整理する作業を行い、宇宙開発技術に関わる関係機関への視察も行った。そのうち代表的なものが、第一に種子島宇宙芸術祭、種子島宇宙センターほか(鹿児島県種子島(10月))であり、第二に飛行士記念館、全ロシア博覧センター、冷戦博物館地下シェルター、Marsセンターほか(ロシア・モスクワ(3月))である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
②映像班では、観測技術の系譜と映像研究を交差させることに十分な意義が見いだせることが6月開催の日本映像学会シンポジウムで明らかになった(司会:前川、登壇者:古賀一男(北野圭介×畠山宗明×細馬宏通、柳川孝二))。もちろん、引き続き映像の視覚経験と重力経験(平衡感覚)との関わりを掘り下げていく必要もある。次のステップとして③知覚班との接続可能性を検討する準備も順調に進めている状況である。 ①生命班・自然班では、宇宙生命科学/宇宙生物学(アストロバイオロジー)の成果の検討と、生命概念の系譜学的検討というふたつの作業領域を順調に進めているところである。ただし、生命概念・生物概念に、具体的に切りこむための現象をもう少し精査してあらためて照準する必要があることも明らかになった。 ③知覚・脳科学班については、まずは有人宇宙実験の成果の集約を行い、それを踏まえて実際に身体への重力の作用を変数とする作品を展示、考察することができた(作品制作も視野に入れた展開は今後も続ける予定である)。③を①と接続する準備も進めているところである。 3つの班のうち、①生命・自然班での資料のさらなる検討と整理、焦点の先鋭化がもっとも急がれる課題である。それ以外はきわめて順調に展開している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として、第一に①生命・自然班の現在の言説のさらなる検討を行い、なおかつ具体的現象と論点の擦り合わせをさらにすべく、中規模の研究会を開催する。第二に、②映像班では脳科学との折衝点となるここまで蓄積した言説をとりまとめる小規模な研究会を開催する。具体的映像を中心にした分析を行いたい。第三に、③知覚・脳科学班では、脳科学と宇宙科学を融合させた先行研究のさらなる考察が必要であるが、この観点を推し進めるべく、新たな分担者(真下武久)を追加した。メディア・アーティストでもあり研究者である真下は、すでに脳波計やfNIRSを用いたインターフェイスのためのプログラム開発、作品制作、その成果にかんする論文執筆の実績がある(分担者森公一との共同制作が多い)。真下を加えた③班を軸として、これまでの宇宙知覚心理学や宇宙脳科学の成果を分析し、脳や身体とのインタラクションをシミュレートするプログラムの研究および開発をおこないアートを逆照射する作業を行ってもらう。力点としては①、③、②の順で今年度は研究を展開させていく予定である。
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Remarks |
現在のところ、Googleのアドレスでの承認が必要なウェブサイトであるが、時期を見て公開していく予定である。
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Research Products
(15 results)