2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H02298
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Research Institution | Tokyo National Museum |
Principal Investigator |
皿井 舞 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 主任研究員 (80392546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 麿充 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (00416265)
神居 文彰 佛教大学, 公私立大学の部局等, 非常勤講師 (10411117)
早川 泰弘 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, 部長等 (20290869)
城野 誠冶 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化財情報資料部, 専門職員 (70470028)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 平等院鳳凰堂 / 空間構造 / 彩色 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度実施した調査は、基本的には、鳳凰堂内の修理の進捗状況にあわせて日時を設定し、のべ10回に及んだ。 ①2017年5月13日鳳凰堂内南壁下品中生図の撮影・調査、②同年7月14日鳳凰堂内南壁下品中生図の撮影・調査、③同年7月29日鳳凰堂内北壁の彩色分析調査、④同年7月30日鳳凰堂内北壁の長押上母屋柱彩色分析調査、⑤同年8月25日鳳凰堂内北壁母屋柱彩色撮影、⑥同年8月26日鳳凰堂内北壁の目視調査、⑦同年8月10日埋蔵文化財収蔵庫保管の旧正面扉の各種撮影、⑧同年9月28日鳳凰堂内北壁彩色撮影、⑨同年10月3日~5日(株)便利堂保管平等院鳳凰堂昭和解体修理前後を撮影したガラス乾板のデジタル化作業、⑩2018年3月5日~9日(株)便利堂保管ガラス乾板残り分の撮影完了。 本年度は、足場のある北壁の彩色調査を中心におこなうとともに、解体修理前後の様子が克明に記録されているガラス乾板のデジタル化を完了した。1000枚近くある大部の資料であり、数年の作業を見越していたが作業の効率化をはかり完了することができた。現状、かなり剥落してしまった柱の文様などの復元的考察に非常に有益であることは間違いない。 剥落してしまった箇所は蛍光撮影を行うことによっても、図様の復元的考察を行うことができ、ガラス乾板資料と現状の撮影記録との突合せという実証的な方法から、鳳凰堂内彩色でこれまで知られていなかった部分の解明にふみこむことができる準備が整いつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年間、10回にわたり調査・撮影を進めてきた。申請書作成当初の計画では、創建当初の扉絵も調査予定であったが、甲府内定通知後に確認したところ保存状態がよくないため、しかるべき処置をしてからでないと調査できないことが判明した。このように、申請書作成当初の計画を変更せざるを得ない部分があったものの、本年度予定していた鳳凰堂内の撮影はひとまず完了し、また2か年を予定していたガラス乾板の撮影についても、本年度内にすみやかに完了することができた。こうしたことから「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度末の3月10日に、研究分担者および平等院学芸員によって今年度の作業内容総括と、来年度の調査内容や調査の進め方について、協議した。今年度は、今後2か年にわたって、仏後壁の付近に足場が組まれることから、 ①足場が組まれる前までに、壁画などの全図を撮影しておく必要があること。②足場が組まれた後は、その足場状況を確認して、危険のない範囲で作業内容を打ち合わせ、仏後壁の両端にある来迎柱の彩色などについて撮影、分析をおこなうこと。③昨年度の積み残しである、正面扉のカラー画像を取得すること。④デジタル化したガラス乾板の整理と公表の仕方の協議をすること。などを相互に確認した。 各年度に取得した画像などは、まとめて随時平等院と共有していくことで合意をえている。年度明けに打ち合わせをし、今年度の作業内容、作業時期について詰めることとなる予定である。
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Research Products
(4 results)