2019 Fiscal Year Annual Research Report
〈難民〉の時代とその表現:1930─50年代北東アジアにおける移動と文化活動
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17H02315
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
坪井 秀人 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (90197757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北原 恵 大阪大学, 文学研究科, 教授 (30340904)
川口 隆行 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (30512579)
溝渕 園子 広島大学, 文学研究科, 教授 (40332861)
平田 由美 大阪大学, 文学研究科, 教授 (60153326)
石川 巧 立教大学, 文学部, 教授 (60253176)
宋 恵媛 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (60791267)
渡辺 直紀 武蔵大学, 人文学部, 教授 (80409367)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | サハリン / 樺太 / ユジノサハリンスク / ソビエト侵攻 / 北緯50度線 / サハリン国立大学 / 新生命 / 残留日本人 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は前年度のシベリア抑留者の文化活動の調査を発展させるべく、サハリン残留日本人の文化活動の調査研究を行った。2019年7月20日に大阪大学中之島センターにおいて、サハリン近代史と日ロ交流史を専攻する山形大学准教授天野尚樹氏と神戸大学准教授ヤロスラブ・シュラトフ氏を招聘して第6回研究会を開催した。またサハリンにおける日本語新聞『新生命』のデータと関連資料をメンバーで共有しそのデータベース化計画について研究代表者の坪井がスタンフォード大学のフーバー研究所とも協議し、研究分担者の宋が同紙文化関連記事目録を作成した。9月14日~19日、科研メンバーを中心に15名でサハリン各地にて調査を行い、上記の天野氏、シュラトフ氏も同行した。ユジノサハリンスクを拠点に、北緯50度線の旧国境付近の戦跡、マカロフ、ポロナイスク、コルサコフ、ホルムスクなどを訪ね、各地に残る旧王子製紙工場の廃墟、日本人コミュニティの遺構、朝鮮人虐殺記念碑等を調査した。9月18日にはサハリン国立総合大学との間で共同シンポジウム"Crossroads of Cultures: Sakhalin Island in Terms of History and Literature"を開催し、日本側4名、サハリン側3名が報告し、今後の研究交流の打ち合わせも行った。10月10日には坪井がこの調査にもとづき神戸大学で講演を行った。2020年2月2日には第7回研究会を日文研で行い、サハリン調査を総括して次年度計画について打ち合わせを行った。以上により敗戦を跨いでサハリンにおける日本人住民がどのように同地の開発経営に関わり、ソ連侵攻とともに難民化する危険にどのように晒されたかを知ることが出来た。本プロジェクトが行う日本人の難民化した日本人の文化活動の研究においてサハリンが一つの典型例になり得ることを確認することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2019年度におけるサハリン調査は前後に事前の勉強会と調査の総括を目的とした研究会を国内で行い、専門家の知見に学びながら基本的資料等の知識の共有を図り、十分な準備をして臨んだこともあり、予想以上の収穫を得た。将来にわたって進めなければならない研究課題の多さに呆然とさせられる面もあるが、長期的に取り組むべき課題でもあるので、今後の研究計画に反映させていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は本科研プロジェクトの最終年度であるので、2019年度の最後に行った第7回研究会において打ち合わせを行った研究成果を公開するための論文集のための論文執筆とその成果発表を兼ねた研究会の開催する(国内2~3回を予定。場合によってはオンライン会議の方法も検討する)。そして4年間のプロジェクトを総括するための国際会議(クロージング・シンポジウム)を8月に韓国の釜山で開催するべく準備をすすめているところである。同会議では韓国における北東アジアの移民や難民について研究を行っている研究者を講師として招聘し、これまでの研究成果を踏まえて総括的な議論を行い、次の研究プロジェクトへ架橋する契機を見出したい。
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Research Products
(43 results)