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2018 Fiscal Year Annual Research Report

Fundamental research baseded on scaling theory for applying CEFR to Japanese language

Research Project

Project/Area Number 17H02351
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

野口 裕之  名古屋大学, 教育発達科学研究科, 名誉教授 (60114815)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 島田 めぐみ  日本大学, 大学院総合社会情報研究科, 教授 (50302906)
熊谷 龍一  東北大学, 教育学研究科, 准教授 (60422622)
Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
KeywordsCEFR / 非欧州言語へのCEFR適用可能性 / 能力記述文の順序性 / 日本語の独自性 / 項目応答理論 / Rasch系モデル / CEFR能力記述文の特異項目機能(DIF)分析 / 漢字圏・非漢字圏
Outline of Annual Research Achievements

2018年度は、CEFR言語能力記述文に関して日本語を目標言語とした場合に、欧州域内の言語と同様に適用することが可能であるか、順序性などの点で調整の必要がないか、を実証的に示すために、日本語学習者を対象に調査を実施した。具体的な手順は以下の通りである。

1)回答者が要する時間や回答にかかる負担などについて、調査票の仕様を検討する予備調査を少人数に実施した。2)CEFRの5つの言語能力の中から「聞く」「読む」の受動的能力に絞って実施した。全部で73の記述文があるが、CEFR-CV(2018)で改訂された文言や記述(例えば、「母語話者」という表現が用いられなくなった)に関して修正するとともに、日本語訳の分かりにくい点を少し修正した。3)並行して、調査実施地との関係で、CEFRの中国語版を入手するとともに、翻訳が存在しないベトナム語に関しては翻訳・校閲を専門家に依頼した。4)調査地の事情に合わせて、「聞く」「読む」の全ての言語能力記述文を含む版以外に、2版化、4版化したものも作成した。これらの版の間には共通する言語能力記述文を配置して、CEFR能力尺度の等化が可能なように配慮した。5)CEFRの開発では「教師評定」が主たるデータになっているが、本研究では4段階評定尺度による「自己評価」とした。6)2018年10月から2019年2月にかけて、日本国内、中国、ベトナム、オーストラリア、米国(ハワイ州)で調査を実施した。「漢字圏」「非漢字圏-アジア」「非漢字圏-アジア外」の調査協力者データを得るように配慮したものである。その結果、全部で約700名の協力者データが得られた。7)これらの調査データの入力作業を終えた。

8)上記調査と並行して、日本語学習者に対して、CEFRの言語能力記述文から一部を抽出して、能力記述文の難易度の順序を判断する個別実験を実施して、その直後にインタビューを実施した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2018年度は、1)当初計画では「聞く」「読む」に加えて、「話す(やりとり)」「話す(表現)」「書く」に関しても自己評価調査を実施する予定であったが、調査実施の準備、調査協力者の負担、研究経費などを勘案した結果、「聞く」「読む」に限って自己評価調査を実施して、「話す(やりとり)」「話す(表現)」「書く」は別途に第2次調査として、2019年度に実施することにした。2)ただし、第2次調査に用いる言語能力記述文の抽出、対応する中国語の入力、ベトナム語の翻訳までは完成している。3)日本語の独自性を反映する言語能力記述文を開発することは、第1次および第2次調査の結果を踏まえる必要があるため、2018年度には着手することができなかった。4)第1次調査実施地に関しては、当初計画と若干変更があったが、「漢字圏」「非漢字圏-アジア」「非漢字圏-アジア外」と当初計画通りの地域で実施することができた。5)第1次調査で得られた調査票に対する回答データは既に入力を済ませ、一部統計分析の実施を始めており、本格的なIRT分析等は2019年度当初から実施する。また、6)これらの調査と並行して、2017年度に続いて日本語学習者に対して実施した個別実験とその後のインタビュー調査から得られたデータは現在分析を進めている。
全体として、海外の調査実施地で順調に協力を得られたことが幸いであった反面、実際に調査実施地に出張して調査データを収集することに当初想定したよりも多くの時間と経費支出を要したことなどの理由により、全体計画の進行にやや遅れを生じている。現在得られているデータを基に分析した結果については、2019年度に国内の複数の学会で発表する予定である。
以上のことを合わせて、現在の進捗状況を「やや遅れている」と判断した。

Strategy for Future Research Activity

2018年度の第1次調査の結果を受けて、2019年度は以下の計画で研究を実施する。
1)第1次調査の調査票回答データのIRT分析等を進める。2)CEFRの「聞く」「読む」の言語能力記述文のパラメタ推定値と第1次調査で得られたパラメタ推定値の順序性等を比較検討する。3)遅れている第2次調査の実施を進めるにあたって、基本的には第1次調査と同じ地域で実施するが、第1次調査地に含まれていなかった欧州において小規模調査が実施できる見込みである。4)第2次調査の調査票回答データに対して第1次調査と同様の統計分析を実施する。5)第1次調査および第2次調査の分析結果を合わせて、既存のCEFR尺度の日本語に対する有効性を尺度構成理論的視点と外国語(日本語)教育の視点の両方から検討する。6)2017年度の海外訪問調査の成果および2018、2019年度の調査研究の成果を受けて、CEFRの中で、日本語の独自性が影響すると考えられる言語能力記述文を同定する。さらに、CEFRに含まれていないが日本語の独自性が反映すると考えられる言語能力記述文を開発する。
2019年度に実施できるのはここまでの可能性が大きいが、引き続き、7)これらの言語能力記述文を既存のCEFR尺度に入れ込んで調査を実施し、調査データを分析して、CEFR尺度の一次元性が成立するか、補助尺度として別に独立した尺度を構成するかなどについて検討するための調査計画などの準備まで終えたいと考えている、8)2019年度は研究成果の一部を学会・研究会等で発表し、他の研究者の方々からご意見を頂くとともに、本研究のまとめと残された課題について整理し、次の段階で実施すべき研究課題、研究計画を明らかにする。特に本研究を実施中の2018年2月に欧州評議会が出版した CEFR Companion Volume にどのように研究範囲を拡大するかについても検討する。

  • Research Products

    (11 results)

All 2019 2018

All Journal Article (2 results) Presentation (9 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results,  Invited: 3 results)

  • [Journal Article] 日本語聴解テスト予備試験結果の分析--認知診断テストの開発を目指して--2019

    • Author(s)
      島田めぐみ,保坂敏子,澁川晶,孫媛,谷部弘子
    • Journal Title

      東アジア日本語教育・日本文化研究

      Volume: 22 Pages: 1-15

  • [Journal Article] IRTとCBTの光と影―高大接続改革の夢か幻か2018

    • Author(s)
      野口裕之
    • Journal Title

      名古屋大学大学院教育発達科学研究科附属高大接続センター紀要

      Volume: 2 Pages: 29-47

  • [Presentation] ラッシュ系モデルによる尺度構成-作文研究およびCEFR尺度の開発2019

    • Author(s)
      野口裕之
    • Organizer
      作文研究2018(科学研究費補助金成果発表会)
  • [Presentation] 評定値の分析2019

    • Author(s)
      野口裕之
    • Organizer
      作文評価を考えるセミナー
  • [Presentation] Can-do statementsはいかにテスト・評価に活用できるか2018

    • Author(s)
      島田めぐみ
    • Organizer
      第一回中国大学教育機関における日本語教育と日本語テスト国際シンポジウム
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Presentation] 真正性の高い日本語聴解テストの開発2018

    • Author(s)
      島田めぐみ・谷部弘子・孫媛・保坂敏子・澁川晶
    • Organizer
      The 2018 International Conference on Japanese Language Education Venezia ICJLE 2018
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 評価研究の方法論的視点:データ科学としてのテスト研究2018

    • Author(s)
      島田めぐみ
    • Organizer
      2018年度日本語教育学会春季大会
  • [Presentation] DLA<読む>の構成概念妥当性の検証―テキストレベルの順位性をめぐって―2018

    • Author(s)
      櫻井千穂・真嶋潤子・中島和子・野口裕之
    • Organizer
      2018年度日本語教育学会春季大会
  • [Presentation] 複数評定者データのDIF分析に関する方法的検討2018

    • Author(s)
      熊谷龍一・岩田 昇・佐伯いずみ
    • Organizer
      日本心理学会第82回大会
  • [Presentation] 項目反応理論入門2018

    • Author(s)
      熊谷龍一
    • Organizer
      第13回ICPSR国内利用協議会・統計セミナー
    • Invited
  • [Presentation] EasyEstimationを用いたテストデータのIRT分析2018

    • Author(s)
      熊谷龍一
    • Organizer
      第12回『日本テスト学会賞』記念講演・ワークショップ
    • Invited

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Published: 2019-12-27  

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