2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17H02453
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
岡田 信弘 北海学園大学, 法務研究科, 教授 (60125292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 誠 広島大学, 法務研究科, 教授 (20336415)
徳永 貴志 和光大学, 経済経営学部, 准教授 (50546992)
木下 和朗 岡山大学, 法務研究科, 教授 (80284727)
只野 雅人 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (90258278)
赤坂 幸一 九州大学, 法学研究院, 准教授 (90362011)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 公法学 / 議会運営 / 議事日程 / 会期制 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)本共同研究の目的・課題:本共同研究は、「議会運営における時間」の問題を国際的な視野で研究することにより、問題の所在を明らかにするとともにそれを解消・克服するための方策を探究しようとするものである。具体的には、「会期制」、「議事日程」、「議事協議機関」を取り上げ検討することを課題として設定しているが、平成29年度は、主に、研究組織全体における問題意識の共有と課題の明確化を図るべく、外国(イタリアとフランス)での調査に加えて、研究会の開催と国際的なワークショップで中間報告を行った。 (2)研究会の開催(札幌):平成29年8月に、国会運営や国会審議のあり方について鋭い問題提起を行ってきている大山礼子氏(駒澤大学)を招聘し、「日本の立法過程-国際比較から見た国会審議の特色と問題点-」というタイトルで報告をしてもらい、共同研究に参加している研究者との間で意見交換を行った。 (3)外国(イタリア・フランス)での調査:平成29年9月に、イタリアとフランスの憲法裁判所・憲法院と下院を訪問し、裁判官や議会職員にヒアリングを実施した。このヒアリングにより、それぞれの国における国会審議のあり方やそれに対する憲法裁判所の関与の仕方等について意見交換を行った。フランスでの調査に当たっては、事前に質問票を送付しそれに回答を得る形でヒアリングを実施した。ヒアリングの内容については、コメントを付して近々公表する予定である。なお、憲法院と国民議会での調査終了後、リール大学で開催された国際シンポジウム「法律の制定」に参加し、欧州主要国の議会制度研究者と意見交換を行った。 (3)国際ワークショップでの報告(広島):平成30年3月に、広島大学で開催された「日仏公法セミナー」において、研究代表者と研究分担者2名が、研究成果の一部をフランス語で報告し、フランス人研究者と意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)大山礼子氏を招聘した研究会の成果として、国際比較から見た日本の国会審議の特色と問題点について、研究組織全体における問題意識の共有と課題の明確化を実現することができた。たとえば、自民党における法案の事前審査の国会審議に及ぼしている影響や会期不継続の原則の見直しの必要性などである。 (2)外国での調査は、対象国がいずれも二院制を採用していることもあって、国会運営において直面している問題の共通性が理解できたが、他方において、政党状況や国会議員の個性、更には違憲審査制の違いが立法や国会運営のあり方に与えている影響について検討する必要性を強く感じた。 (3)国際ワークショップでの報告によって、研究成果の一部をフランス人研究者に発信することができた。本共同研究の柱の一つである学術的な国際交流の一端は実現できたように思われる。ただし、それは対象と内容のいずれの面でもいまだ部分的・片面的なものにとどまっており、今後は共同研究の内容を深めるとともに、双方向的な学術交流が必要となろう。
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Strategy for Future Research Activity |
本共同研究の課題である「議会運営における時間」に関わる諸問題の解消・克服のための方策を明らかにするために、国際的な観点からの比較研究を深めるとともに、研究会を通じて議会実務家との交流を推進することを考えている。後者の作業は、方策を提言という形で具体的化するために不可欠なプロセスと位置づけられよう。具体的には、以下のような活動を予定している。 (1)国際的なワークショップの開催:フランスのリール大学で「議会と時間」という共同研究プロジェクトを遂行しているグループと共催でワークショップを開催することによって、「議会と時間」をめぐる諸問題を共通の問題意識の下に異なった角度から掘り下げた意見交換を行い、議会運営に関わるパラダイム的なものを明らかにし、それを世界に発信することを考えている。このワークショップを平成30年9月に、リールで開催するべく計画を進めている。 (2)議会実務家との交流:平成31年2月または3月に、東京で、国会図書館や議院法制局の職員の参加する研究会を開催することによって、少なくとも、「会期制」、「議事日程」、「議事協議機関」に関する国会法上の問題点とその解消方策について検討したいと考えている。 (3)研究書の刊行:以上の作業に基づいた共同研究の成果を著書としてまとめ、国内外に発信する予定である。
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Research Products
(12 results)