2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17H02469
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前田 雅弘 京都大学, 公共政策連携研究部, 教授 (50240817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 徹哉 京都大学, 法学研究科, 准教授 (10511983)
高橋 陽一 京都大学, 法学研究科, 准教授 (10737399)
洲崎 博史 京都大学, 法学研究科, 教授 (20211310)
齊藤 真紀 京都大学, 法学研究科, 教授 (60324597)
北村 雅史 京都大学, 法学研究科, 教授 (90204916)
村田 敏一 立命館大学, 法務研究科, 教授 (80454510)
伊藤 靖史 同志社大学, 法学部, 教授 (30319470)
松尾 健一 大阪大学, 高等司法研究科, 准教授 (80388040)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 株主提案権 / 多重代表訴訟 / キャッシュ・アウト |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本研究を推進していくための共通の基礎を得ることを目的として、株主保護に関する現行の会社法制の現状の分析を中心に研究を進めた。 平成26年の会社法改正は、公開会社における支配株主の異動を伴う募集株式の割当てについて、一定の要件の下で株主総会決議による承認を要することとし、また、親会社による子会社株式の譲渡について、一定の要件の下で株主総会決議による承認を要することとし、さらに、限定的とはいえいわゆる多重代表訴訟の制度を導入するなど、全体として、株主の利益保護を拡充する方向の改正であったと評価することができる。 しかし、株主保護に関する現行の会社法制には、なお検討すべき課題が少なくないことが明らかとなった。たとえば株主提案権については、総会屋の存在を念頭に濫用防止措置が設けられているが、これらの措置が現在もなお必要かつ十分といえるかという問題がある。株主代表訴訟の制度については、平成26年改正で導入された多重代表訴訟制度が期待される機能を果たせるような制度となっているかという問題がある。さらに平成26年の会社法改正により整備されたキャッシュ・アウトの制度については、会社から締め出されることとなる株主の利益保護が十分に図られているか、特に株式の経済的価値を回収する利益のほか、株主たる地位を維持する利益を考慮しなくてよいのかという検討課題がある。これらの問題を検討するに当たっては、会社法のみならず、スチュワードシップ・コードおよびコーポレートガバナンス・コードに代表されるソフト・ローによる規律づけも視野に入れる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
株主保護に関する現行の会社法制における検討課題は相当に明らかとなったが、その調査・分析の過程で、株主総会における株主の権利行使のあり方が株主保護のあり方全体に強く影響を及ぼしているということが判明した。研究目的である株主保護に関する現行の会社法制の現状を的確に解明するためには、今後、株主総会関係の問題に踏み込んで調査・分析を進める必要があると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の会社法制が株主権の内容または行使の仕方の変化に適合した法的仕組みを提供するものとなっているかについて、引き続き総合的な検討を進める。 それとともに、株主総会における株主の権利行使のあり方が株主保護のあり方を考察するうえで重要であるところ、次期会社法改正において、株主総会関係の規律の見直しが予定されているため、この改正の動向についても注視し、検討を加える必要がある。
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Research Products
(13 results)