2018 Fiscal Year Annual Research Report
The examination of partnership peace operations from the perspective of international constitutionalism and security
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17H02490
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
篠田 英朗 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (60314712)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 国際平和活動 / パートナーシップ / アフリカ / 平和維持 / 平和構築 / 地域機構 / 集団安全保障 / 集団的自衛権 |
Outline of Annual Research Achievements |
アフリカのナイジェリア及びエチオピアで国連平和維持活動派遣要員の訓練にあたるCSRS(Center for Strategic and Regional Studies)及びPSTC (International Peace Support Training Center)などを訪問し、パートナ―シップ平和活動のあり方について聞き取り調査を行うとともに、関係者と意見交換を行った。出張を予定していた一部の地域については、治安情勢が芳しくなく、あらためて訪問時期を探ることになった。国連平和維持活動の任務に伴う困難は高まってきているが、その最前線にいるのはアフリカ諸国が派遣した要員であり、改善のための機運は高まっている。日本では文献資料の収集にあたり、パートナーシップ平和活動の実情や研究動向の把握に努めた。パートナーシプ平和活動の研究を通じて、国際社会全体の安全保障の仕組みについて、より普遍的な集団安全保障と、集団的自衛権を基盤にした地域的安全保障の重層的な連動性を、理論的に精緻化することの重要性が判明してきている。これは本研究それ自体の理論的基盤を形成するものとなる。国際法の制度的観点や、国際関係学の理論分析の手法を用いて、パートナーシップを捉える視点の構築に進展が見られ、学術雑誌への投稿も行うことができた。また二つの国際学会発表を行ったことも有益であった。国連PKOの活動規模が縮小し、いわゆるリベラルな国際秩序が揺らいでいるという時代背景をふまえながら、多層的な国際安全保障メカニズムの理論的精緻化を進める必要性を痛感しているところである。これをふまえて、パートナーシップ平和活動分析の理論的視座としていく方向性を固めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アフリカ諸国でパートナーシップ平和活動に携わる専門家層と交流して、現実感覚を伴う知見を共有することができた。中間的な成果としての論文を執筆し、公刊され始めている。理論的な基盤に関する論文であり、現時点の研究としては意味のあるものであった。総合的な理論構築が完成したとまでは言えないが、研究は順調に進んでいる。 実際のアフリカのPKOの事例については、並行して研究を進めている。直接的には科研費の対象ではないが、外務省講師派遣事業などを通じて、アフリカ諸国を訪問し、国際平和活動関係者と交流する機会があり、本研究にも有益であった。 ただし本来であれば、国連PKOの現場に入りたかったが、治安状況の行方を見守る必要性があった。
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Strategy for Future Research Activity |
安全を無視した渡航計画は立てられないが、当該地域から出ている職員と会って聞き取り調査をするなどの工夫を積み重ねて、研究を進めたい。平成31年度も、さらに研究の中間報告を発表していくこととしたい。 理論的基盤を精緻化していく作業を完成させて、さらに中間的成果の公表を行う。事例に即した研究成果も発表していく。英文単行本公刊準備の作業も本研究に一体のものとして進めており、年度内の最終原稿の完成を目標にしていきたい。 アフリカへの出張については引き続き状況をふまえたうえで遂行していくことになる。
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Research Products
(6 results)