2018 Fiscal Year Annual Research Report
「ASEAN共同体」の拡大と深化-地域機構の展開とEU危機への新たな視座
Project/Area Number |
17H02493
|
Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
金子 芳樹 獨協大学, 外国語学部, 教授 (40233895)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 亮 同志社大学, 法学部, 教授 (10212490)
井上 浩子 大東文化大学, 法学部, 准教授 (20758479)
工藤 年博 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (30450498)
稲田 十一 専修大学, 経済学部, 教授 (50223219)
小笠原 高雪 山梨学院大学, 法学部, 教授 (50247467)
山田 満 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (50279303)
平川 幸子 早稲田大学, 留学センター, 准教授(任期付) (80570176)
吉野 文雄 拓殖大学, 国際学部, 教授 (90220706)
福田 保 東洋英和女学院大学, 国際社会学部, 准教授 (90511105)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ASEAN / 東南アジア / 地域機構 / ASEAN共同体 / EU / 地域統合 / 政治社会変動 / 一帯一路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ASEANを①拡大と深化の過程、②地域横断的イシューの展開 、③域内各国の政治社会変動分析という観点から「国際・地域・国内」の3次元で捉え直すことである。2年目の平成30年度においては、本研究の中間的な成果をASEAN地域の研究者との会議や海外での国際シンポジウムの場で発表し、海外の研究者との議論や情報交換を通して新たな知見や情報を集積することにおいて大きな前進があった。 特に、12月5日から7日にインドネシア(ジャカルタ)で開催された東南アジア日本研究学会の国際会議「Global Dynamics Impacts to JAPAN-ASEAN Relations」に、研究分担者・協力者10名を派遣して2つの分科会を主催し、ASEAN諸国から参加した多くの研究者や実務家を前にこれまでの研究内容を発表するとともに、それらをめぐって議論する機会を得ることができたのは大きな成果であった。 また、本研究のもう一つの特徴である「ASEANとEUとの比較」という観点については、前年度に引き続いてEU研究者を招聘してシンポジウムを開催した。このシンポジウムでは、EUとASEANの地域統合のあり方、ならびに米中「新冷戦」や国家の内向き化などが両組織に与える影響についてそれぞれの研究成果を持ち寄って比較・検討することにより、双方の研究にフィードバックさせることができた。 このような国内外での組織的な研究交流を積極的に推進する一方、各研究分担者・協力者は、それぞれの担当分野の進捗状況を月例研究会にて逐次報告・議論し、また関連するテーマについて各所属学会での口頭発表、論文や書籍としての発表・刊行を行った。 これらの事業や活動を通して、新たな情報や知見の獲得、研究成果の公表とフィードバック、国内外での研究人脈の形成と活動分野の拡大といった面で2年目の成果を積み重ねることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・月例研究会の開催:研究分担者・協力者および招聘した外部研究者を報告者として月例研究会を9回開催した。その中で、ASEAN諸国(特に、インドネシア、フィリピン、ミャンマー)の政治経済および関連する域外大国(中国、アメリカ)との関係などに関する分析結果が報告され、討論を通してさらに研究内容を深化させることができた。EUとの比較については、EU研究者を討論者に迎えて「ASEANとEU―理念・制度・主権」をテーマとする公開シンポジウムを開催し、2つの国際組織の類似点や相違点などについて議論した。 ・海外の研究対象国における調査・研究交流:平成30年5月17日には、インドネシア大学のジュリアン・パスハ教授を招いて、東南アジアの大国であり同地域の統合の鍵を握るインドネシアの政治経済情勢と外交政策をテーマとする講演会と特別研究会を開催した。また、同12月5-7日には、研究分担者7名、研究協力者3名が、インドネシアのジャカルタで開催された東南アジア日本研究学会(Japanese Studies Association in Southeast Asia)の国際会議に参加し、「Plenary Session: ASEAN and Japan」、「PANEL Session: Security in Southeast Asia and Japan」の2つの分科会を主催して本研究の成果を報告し、東南アジア地域の研究者との間で活発な意見交換ができた。 ・論文・図書の出版:「研究発表」の一覧に示したとおり、研究分担者・協力者は合計20点ほどの論文もしくは図書を掲載・出版して研究成果を公表した。学会やシンポジウムでの口頭発表も合わせて16回にのぼった。さらに、次年度に刊行予定の研究書についての編集会議を重ね、年度末には各自が原稿執筆を開始した。
|
Strategy for Future Research Activity |
3年目(最終年)となる令和元年度には、研究成果の公表を目的とする幾つかの事業を実施する。第1に、本研究の成果をまとめ、学術書として刊行することである。具体的には、5月の月例研究会で各研究分担者・協力者が研究成果をまとめた論文のドラフトを持ち寄って相互に検討・評価した上で、その後の月例研究会で個々の論文内容について検討を加え、それらを踏まえて最終稿の執筆を進める。その上で10月までに『一帯一路時代のASEAN(仮)』(ミネルヴァ書房)と題する研究書を刊行することを目指す。 第2に、関連学会での分科会や公開シンポジウムを開催し、研究成果を広く他の研究者や学生と共有し、さらに一般市民に対しても広く公表する。具体的には、6月開催のアジア政経学会春季研究大会(於:慶應義塾大学)で「一帯一路と東南アジア」をテーマとする分科会を主催する。また、年度後半には、EU研究者との共同プロジェクトとして、ASEANとEUの比較をテーマとする公開シンポジウム(一般市民も含めて公開)を開催する。その事前準備として、複数のEU研究者を分野ごとに数回に分けて月例研究会に招聘し、相互に両組織の理解を深めるとともに、比較内容のすり合わせや論点の整理を行う。 これらの事業を進める中で、研究者ごとおよび組織として年度末の最終報告書作成に向けた取りまとめ作業を進め、同時に次年度以降のASEAN研究の方向性についても検討していく。さらに、令和元年度には本研究プロジェクトのホームページやFacebookをインターネット上に開設し、蓄積された研究成果を公表する場を広げるとともに、ASEAN関係の有用な資料を紹介もしくはダウンロードできるようなシステムを構築する。それらを通して、関連研究分野の検索や資料収集の環境向上に資するサイトを提供し、本研究プロジェクトの成果を広く一般に公開すると同時に、若手研究者の育成を後押しする。
|
Research Products
(35 results)