2019 Fiscal Year Annual Research Report
財政競争における部分協調の維持条件に関する理論研究
Project/Area Number |
17H02533
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 光 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (10313967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津布久 将史 大東文化大学, 経済学部, 講師 (20802333)
古村 聖 武蔵大学, 経済学部, 准教授 (30735783)
須佐 大樹 中部大学, 経営情報学部, 講師 (30759410)
家森 信善 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (80220515)
内藤 徹 同志社大学, 商学部, 教授 (90309732)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 財政競争 / 政策協調 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、理論研究班において当初計画していた(i)選挙のタイミングのずれといった政治要因、(ii)複数の課税方式の選択、および(iii)動学要素を考慮する方向で発展させた研究を国際雑誌に掲載する実績を残すことができた。特に(iii)の研究については、欧州における部分的な税制の協調を念頭においた内生的成長モデルを構築し、租税競争の発生が財政の維持可能性を高めるか低めるかは、各国の非対称性の度合および政策協調の有無などによって影響を受けることを明らかにした。そこでは、財政の維持可能性を保証する資本税率の下限がモデルをもとに推計され、現実の税率とそれを対比することを通じて、どの国が税率の引き下げ余地が高いかを定量的に明らかにすることに成功した。また、地域金融の研究班では中小企業金融円滑化法の効果、不完全市場班では部分民営化における協調問題、家族内交渉班からは最適課税アプローチおよびグローバル化に伴うジェンダーギャップに関する研究が国際雑誌への論文掲載の実績につながった。また、小川・津布久の協働により、開始した実証研究のパイロット分析も、草稿が完成し、いくつかの学会、研究会において発表する段階にたどり着いた。さらに、租税競争モデルを我が国のふるさと納税制度のもとでの自治体間競争に応用する分析をスタートさせた。寄付に対する還元率を協調して抑制する場合と協調した還元率が設定できない場合において、各自治体の収入がどの程度異なるかの推定を行い、自治体間での協調が必要なことを定量的に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度だけでも国際学術雑誌への査読論文掲載が7件あり、本プロジェクトのスタート時から始めた研究が着実に研究成果として認められ公刊されるに至っているため。また、次年度以降に公刊を期待できる研究も複数進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、理論研究班3名と応用分野の研究者3名の体制で国際雑誌への掲載につながる研究を推進する計画である。理論研究班における繰り返しゲームを用いた研究を加速するために、本年度は、それを専門にする研究者を研究分担者として新たに追加する。コロナウイルスの問題の見通しが立たず、本年度と次年度の学会における成果発表の機会が不透明であるが、オンライン開催などに対応して研究成果の公表を図っていく。
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Research Products
(23 results)