2017 Fiscal Year Annual Research Report
「脚本クロニクル」サイト構築とその教育活用および国際発信
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17H02598
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
藤田 真文 法政大学, 社会学部, 教授 (60229010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 明彦 国立情報学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (00333542)
丹羽 美之 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 准教授 (00366824)
岡室 美奈子 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10221847)
小林 直毅 法政大学, 社会学部, 教授 (10249675)
吉見 俊哉 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (40201040)
中町 綾子 日本大学, 芸術学部, 教授 (80287672)
丸山 岳彦 専修大学, 文学部, 准教授 (90392539)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脚本 / データベース / アーカイブ / 国際発信 / 教育利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では貴重な脚本を収集し脚本家に焦点をあてたオーラルヒストリーを実施。インタビューや脚本を公開するWeb版「脚本クロニクル」を作成する。脚本の体系化により①放送史を読み解き、②当時の経済・家族関係などをとらえ、③言語学の見地より言葉の変遷も可視化できる。また④映像と脚本の対比研究、創作やセリフ実演等を教育現場で試行し、国語やコミュニケーション教育での実用化を検討する。さらに「脚本クロニクル」を多言語化し日本の放送文化アーカイブとして国際発信を目指す。このサイトにより脚本家の時代背景や社会現象を可視化でき、放送と社会の相関関係を社会学的見地からも考察する。 (1)一次資料としての資料保存(散逸の危機にある現物脚本の救済とオーラルヒストリーの継承)……放送脚本を収集保存し、公共機関等で一般公開することは「脚本アーカイブズ活動」と位置付けられる。本研究においては、脚本アーカイブズ活動およびその活用研究を行う。 (2)「脚本クロニクル」の構築……一次資料としての脚本を活用するため、書誌のデータ化、典拠記録の付加、現物の所在情報等を掲載公開する。 (3)「脚本クロニクル」の利活用(エンターテイメント・エデュケーションのモデル)……■初等・中等教育対象の活用モデル:自発的な学びを「エンタテイメント・エデュケーション」モデルにより実現することを目的とする(初等・中等教育)。■研究者や高等教育対象の活用モデル:オーラルヒストリーと脚本閲覧により、放送史や社会、経済を読み解くことができる。また言語学の見地より、日本語の変遷をコーパス研究により読み取ることができる。さらに、映像と脚本を対比する研究も大きな目的となる。 (4)「脚本クロニクル」の国際発信……作成した「脚本家クロニクル」をインターネット発信するとともに、海外の日本研究者のために多言語化を行い広く活用されることを目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、上記研究目標に照らして次のような成果を得ることができた。 (1)一次資料としての資料保存(散逸の危機にある現物脚本の救済とオーラルヒストリーの継承)……新たに約6000冊の脚本の寄贈を受け入れた。追記入力含め8000件のデータを入力し、データベース化した。新規データベースに1万件のデータを移行掲載した。 (2)「脚本クロニクル」の構築……①一次資料としての脚本を活用するため、書誌のデータ化、典拠記録の付加、現物の所在情報等を掲載公開する作業の一環として、900冊の脚本表紙・スタッフ・キャストの画像をデジタル化した。②アーカイブ利用を促すインターフェースの開発のため、試行的に時代劇『水戸黄門』の脚本に登場した舞台を地図上にプロットして検索できるシステムを作成した。③すでに構築していた『永六輔バーチャル記念館』のインタビュー音声を文字起こしして、テキストも掲載できるようにした。 (3)「脚本クロニクル」の利活用(エンターテイメント・エデュケーションのモデル)……■初等・中等教育対象の活用モデル:①中学校でのオーディオドラマ作成講座、②ショートムービー実演講座、③アフレコ講座を開催し多数の小学生中学生の参加があった。■研究者や高等教育対象の活用モデル:①次の脚本家のオーラルヒストリーを蓄積した(敬称略)。奥山侊伸(インタビュー)、布勢博一、山田太一、竹内日出男(収録済データを掲載)。②日本語の変遷のコーパス研究では、試行的な研究として『市川森一ノスタルジックドラマ集』『市川森一メメント・モリドラマ集』をテキスト化し、計量言語学的分析を試みた。 (4)「脚本クロニクル」の国際発信……「脚本家クロニクル」を国際的にインターネット発信するために、トップページの英語訳、中国語(簡体字)訳を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、上記研究目標に照らして次のような研究計画を立てている。 (1)一次資料としての資料保存(散逸の危機にある現物脚本の救済とオーラルヒストリーの継承)……すでに脚本寄贈の申し出があり、新たに10000冊の脚本の寄贈受け入れを目標とする。追記入力含め10000件以上のデータを入力し、データベース化を図りたい。 (2)「脚本クロニクル」の構築……①一次資料としての脚本を活用するため、書誌のデータ化、典拠記録の付加、現物の所在情報等を掲載公開する作業の一環として、さらに1000冊の脚本表紙・スタッフ・キャストの画像のデジタル化を目指したい。②アーカイブ利用を促すインターフェースの開発のため、試行的に構築した時代劇『水戸黄門』脚本の地図上プロットをさらに精緻なものにして、本格的な検索に耐えることができるシステムを構築したい。③テキスト化した『永六輔バーチャル記念館』のインタビュー音声を「脚本クロニクル」に実装したい。 (3)「脚本クロニクル」の利活用(エンターテイメント・エデュケーションのモデル)……■初等・中等教育対象の活用モデル:今年度も①中学校でのオーディオドラマ作成講座、②ショートムービー実演講座、③アフレコ講座を開催する。■研究者や高等教育対象の活用モデル:①4名以上の脚本家のオーラルヒストリーをインタビュー取材し、アーカイブ化したい。②前年度行った『市川森一ノスタルジックドラマ集』『市川森一メメント・モリドラマ集』をテキスト化しての計量言語学的分析をさらに精緻なものにする。 (4)「脚本クロニクル」の国際発信……「脚本家クロニクル」を国際的にインターネット発信するために行った、トップページの英語訳、中国語(簡体字)訳を実装し、本格的な国際発信を進めたい。
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Research Products
(8 results)