2018 Fiscal Year Annual Research Report
病者障害者運動史研究――生の現在までを辿り未来を構想する
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17H02614
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
立岩 真也 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (30222110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 耕一郎 北星学園大学, 社会福祉学部, 教授 (00295940)
深田 耕一郎 女子栄養大学, 栄養学部, 専任講師 (40709474)
土屋 葉 愛知大学, 文学部, 准教授 (60339538)
長瀬 修 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 教授 (60345139)
山下 幸子 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (60364890)
渡辺 克典 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 准教授 (60509181)
廣野 俊輔 大分大学, 福祉健康科学部, 講師 (60626232)
天田 城介 中央大学, 文学部, 教授 (70328988)
堀 智久 名寄市立大学, 保健福祉学部, 准教授 (70608710)
野崎 泰伸 大阪府立大学, 研究推進機構, 客員研究員 (80469113)
岡部 耕典 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90460055)
荒井 裕樹 二松學舍大學, 文学部, 講師 (90749847)
田中 恵美子 東京家政大学, 人文学部, 准教授 (10506736)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 社会運動 / 障害者運動 / 歴史社会学 / 障害学 / 医療社会学 / 社会政策 / 医療政策 / 障害者政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
◆これまでの調査研究をふまえ『不如意の身体――病障害とある社会』『病者障害者の戦後――生政治史点描』(立岩真也、青土社)の2冊を刊行した。◆公開シンポジウムの第1回として、12月に「マイノリティ・アーカイブズの構築・研究・発信」を立命館大学で開催した。各地各研究機関・大学での実践と成果を知り課題を共有する有意義な機会となった。◆1970年代から2010年代にかけて、福島でまた福島から一時場所を移して活動してきた人たちのインタビューを続けるとともに、過去になされた調査資料を整理した。調査結果を論文とし書籍化するための作業を行った。◆インタビュー調査が順調に進んだ。たいへん貴重な証言も得られた。音声記録は文字化し、それを非公開にしつつ研究分担者で共有した。今後の作業の効率化のために役に立つだけでなく、これ自体がアーカイブの成立を意味し、今後の発展につながるものとなる。◆新たなインタビュー以外にも、これまでの音声データ・文字データを整理し、収蔵し、残す作業を継続した。◆研究代表者他が所属する大学の理解も得て容積を有する資料を収蔵する書庫がある。将来ディジタルデータにして残すためにも、まずは紙としてあるものの散逸を防ぎ集積を進める必要がある。この1年の間にも多数の資料寄贈の申し出があった。その空間を利用して、資料の収蔵、整理・公開を進めた。人手を要し時間と費用のかかる作業だが、大きな意義があると考えている。◆その他、1980年代から1990年代にかけての聞き取り記録を再度文字化した。ディジタル・データ化したものもある。それをもとに、考察し、調査・資料の方向を再度定めめ、論点を引き出す作業を続けた。◆以上のためにメンバーの間での情報交換・議論が必要である。また集団で効率的に作業を進めるためにも指揮系統の整備と円滑な情報交換が必要である。研究者たちのMLと作業実務者のMLを運営した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作業自体は順調に進められた。ただそれを行う中でますます明らかになったのは、なすべきことの多さと重さである。前述したように寄贈される資料も増えている。それ自体はむろん好ましいことではある。そして私たちもそのすべてを収蔵しようというのではなく、取捨選択しようとしている。しかしその作業の速度が資料の増加の速度に追いつかないといった状態になってきている。より大きな規模で、体制を整えてことに当たる必要を感じている。具体的には、一つ、当該分野についての一定の知識を有しつつこれから研究を進め業績を出していこうとする人たちに、妥当な対価を払って、その分野の資料の収集・整理・公開の作業を行なってもらうことである。一つ、その体制を作り、運営するに際しても、どのような資料を、どの範囲で収蔵するか、また、どのような条件のもとで、どのように必要な配慮をしたうえで、どの範囲に対して公開するかについての法的・倫理的検討が必要である。例えば2017年にようやく問題が広く認識されるようになった旧優生保護法下での強制不妊手術についても、新たな資料が発見されている。それをどのように残していくか。死蔵することなく、個々人を尊重しつつも、しかしできるだけ起こったことを明らかにするように、保存・公開する必要があるのは明らかである。その課題は2018年12月の公開シンポジウムでも明らかになった。その仕組みを私たちが作ればそれは全国で汎用可能なものにもなるのである。 こうして、第一に、仕組み・体制を作りながら、第二に、それを具体的に日々運用しそして、仕組みを改善していく、それを繰り返しつつ、研究成果を産出し研究者を育成していくことが必要である。その体制、そのための資金を、来年度、私たちは求めることになるだろう。2018年度についてはその予算・人員の範囲でできる限りのことを進め、それをもう1年継続してまとめることになる。
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Strategy for Future Research Activity |
◆1 福島県における/福島県(出身者)に関わる障害者運動に関する書籍を秋に刊行する。研究代表者・研究分担者3名を含む5名の共著。出版社は生活書院。 ◆2 9月に運動史、アーカイヴィングに関する公開シンポジウムを開催する。2018年の第1回シンポジウムは全国の試みを紹介し互いに情報交換するものだったが、その続きにあたるものは2020年度に行うものとして、この催しは「病者障害者運動史」に特化したものとする。◆1の成果を知らせ、今後の研究をどのように進めていくかを議論する。 ◆3 2018年の第1回シンポジウムの記録を『生存学研究』(立命館大学生存学研究所)で公開する。そこに加えて、運動史研究とアーカイヴィングの意義・現状・未来についての論文を収録する。 ◆4 資料の整理・情報発信を引き続き行い、拡大する。2018年度に寄贈された「全国脊髄損傷者連合会」の役員が遺した大量の資料を整理する。貸与されている「手をつなぐ親の会」の初期の機関誌のPDF化を終わらせ、目録を作成しHP上に公開する。その他、「東京青い芝の会」の機関誌、等の整理。 ◆5 4も関わり、アーカイヴィングに関する研究を継続・拡大する。法政大学原社会問題研究所環境アーカイブ、立教大学共生社会研究センター等の活動を調査し、立命館大学に構築しつつあるアーカイブの質量の向上を目指す。 ◆6 関係者インタビューの継続・整理。公開に応じてもらえるものについては、整理、本人の点検を経て、全体をホームページで公開する。音声・画像についても、その方法の検討も含め、その公開を目指す。
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Research Products
(65 results)
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[Book] 社会が現れるとき2018
Author(s)
若林 幹夫、立岩 真也、佐藤 俊樹
Total Pages
430
Publisher
東京大学出版会
ISBN
978-4130501927
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