2019 Fiscal Year Annual Research Report
The effects of diversifying media environment on international relations: Revisiting "Audience Cost theory" and "Diversionary Theory" from the view points of Social psychology
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17H02628
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
稲増 一憲 関西学院大学, 社会学部, 教授 (10582041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 麻子 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (30273569)
多湖 淳 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80457035)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | メディア・コミュニケーション / インターネット / 国際関係 / マス・メディア |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は2018年度に取得した韓国レーダー照射事件についてのパネルデータ、および複数のメディア(マスメディア・インターネット・対人的コミュニケーション)の第三者効果についてのWeb調査データの分析結果について、日本心理学会、日本社会心理学会において研究発表を行った。さらには、大学院生や研究員との共同研究による結果が、国内外の査読付き論文誌において掲載された。 加えて、これまでの年度において得られた調査データの整理を行うととともに、複数のマスメディア・ウェブメディアの議題設定効果を測定するためのパネルデータの1波データを日経リサーチ社の協力を得て測定した。データ取得は3月であり、新型コロナウイルス感染症の拡大がみられた時期であったことから、他の争点についての報道量は少なくなっていた。しかし、このような時期において争点重要性がどのような影響を受けるのか、あるいは、グローバルに拡大する感染症というある意味での外的危機に際して、議題設定や旗下集結効果が生じるのか否かを検討できるデータが取得できたことの意義は大きい。 また、同時にソーシャルメディア上での発信についても分析できるユーザーローカル社のSocial insightというツールの契約を行うことができたため、2020年夏の第2波調査に向けてWeb上の情報発信について検証を行うことのできる環境が整った。それに加えて、メディアの効果を検証するためのクラウドソーシングサービスを利用したWeb調査実験を複数実施することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの年度において順調にデータ取得を重ねることできている。主となるパネルデータ以外にもクラウドソーシングサービスを利用したWeb調査・実験データは10以上集まっており、これらのデータを分析することですでに多くの学会発表・査読付き学会誌での発表に繋がっている。パネルデータの分析並びに、ソーシャルメディアの分析を通じて、新たな知見を得るための環境は整っており、2020年度以降のさらなる進捗が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、3月の第1波データ取得から3か月以上の期間を空けた上で、第2波の調査データを取得する。ただし、このデータ取得に際しては、新型コロナウイルス感染症問題以外のニュースが極めて少ない状況や、そもそも取材や報道が困難な状況においてのデータ取得となる可能性があるため、慎重に調査時期を見極める必要があると考えられる。加えて、Social insightを用いて、Twitter上において、安全保障・経済・教育といった争点についての言及がどの程度見られるのかという点について、検証を行う。これには2重の意味があり、1つは新型コロナウイルス感染症問題が大きく取りざたされる状況下において、他の争点がどれだけ言及されているかを検証できる可能性があるという点、もう1点は新型コロナウイルス感染症問題を前提としても、この争点が語られる文脈がどのようなものであるかを分析するという点である。これは、議題設定研究における第2レベルの議題設定あるいは属性型議題設定効果の検出に役立つであろう。 また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、実験参加者と実験室で対面する形での実験を行うことは困難な状況にあり、早期に感染症が収束しない場合には、2020年度は残念ながら予定していた実験室実験を行うことができない可能性も考えられる。しかし、作成した動画をWeb上で視聴する形式の実験であれば、行うことが可能であり、このような可能性を考えつつ、両にらみで実験準備を続けることになりそうである。
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