2018 Fiscal Year Annual Research Report
災害,事件・事故による学校危機への包括的心理支援モデルの構築とガイドラインの作成
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17H02643
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
窪田 由紀 九州産業大学, 人間科学部, 教授 (00258576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨永 良喜 兵庫県立大学, 減災復興政策研究科, 教授 (50164033)
小林 朋子 静岡大学, 教育学部, 教授 (90337733)
狐塚 貴博 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (00739526)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 子どもの心理支援 / 心理学的介入 / 災害、事件・事故 / デルファイ法 / ガイドライン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,科学的知識が不足しているときに専門家の意見や経験を集約するデルファイ法を用いて,災害,事件・事故後の子どもの心理支援について,経験のある専門家の意見を集約し,ケースに共通して必要かつ重要だと考える支援方法を見出すことを目的としている。 平成30年度には,まず,前年度実施済の第1回調査結果の集約を行った。協力者132名の臨床心理士のうち,全項目に回答し,全ての要件を満たした107名(87.0%)のデータを分析に使用した。SC歴平均14.4年、臨床歴平均21.5年であった。災害,事件・事故後の学校における子どもの心理支援に関する全56項目について,全く同意しない(0)~完全に同意する(9)の10段階で評定してもらったところ,同意平均得点は5.66(SD=2.14~8.72(SD=0.56)で,全回答者の平均同意得点が7点以上,7点以上の回答者が70%以上という合意基準に達しなかった項目が9項目見られた。 合意基準に達しなかった項目や,基準は満たしても回答のばらつきの大きい項目について,各項目に付された自由記述内容を参考に項目の修正を行うとともに,それらを反映させたコメントを付して,第2回調査を平成30年9月~11月に実施した。第2回調査(有効回答者104名,97.2%)の平均得点は7.31(SD=1.48)~8.90((SD=0.30)となり、全項目が基準を満たした。合意得点の平均値と標準偏差の平均値を用いて全56項目を3つに区分し,ガイドライン作成時には,推奨強項目(9点の割合が70%以上、SD0.93未満)の13項目、推奨低項目(平均7点台、SD0.93以上)11項目とし,推奨低項目についてはコメントを補うことでより活用しやすいものとすることにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画通り,第1回調査結果の集約・分析を経て,第2回調査の準備を行い,9月~11月に第2回調査を実施することができた。第2回調査結果を基に,第3回調査の準備を行う予定であったが,第2回調査終了時点で,70%以上の回答者が7点以上と回答し、かつ、平均点が7点以上という合意基準を全ての項目がクリアしたため,第3回調査実施の必要性がなくなり,予定を早めてガイドライン作成に向けての方針の検討まで行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2019年度においては,これまでの研究結果に基づいて,災害,事件・事故後の子どもの心理支援に関するモデルとそれを具体化したガイドラインを完成させる。 具体的には,①第2回調査で確定した項目一つ一つについて,これまで得られた自由記述内容等を参照しながら,適切な解説文を作成するが,その際には,合意得点の平均値と標準偏差の平均値に基づく項目内容の推奨度の違いを明らかにする,②基本的な考え方を冒頭に、共通の対応、事件・事故後の対応、災害後の対応については,予防段階,準備段階,直後の対応段階,中長期的な対応段階といった時系列に沿って,項目(と解説文)を構成する,③②の内容を要約したフローチャートを提示する,④個々の項目の解説文とは別に,比較的意見が分かれた心の健康アンケートや表現活動に関しては,別途改めて諸外国の実践や研究も含めて検討した上での解説文を付す,⑤①~④はそれぞれ分担して原案を作成したうえで,検討会で精査し,「災害,事件・事故後の学校における子どもの心理支援に関するガイドライン(案)」を確定する,⑥⑤について学校危機対応に豊富な経験を持つ,教育関係者,心理専門家から意見聴取する,⑦ ⑥に基づいた修正を行い,「災害,事件・事故後の学校における子どもの心理支援に関するガイドライン」を完成させる。
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Research Products
(15 results)