2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H02654
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
佐藤 隆夫 立命館大学, 総合心理学部, 教授 (60272449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
妹尾 武治 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (40546181)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | モナリザ効果 / 奥行き知覚 / 形の恒常性 / 顔知覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
モナリザ効果とは,絵画に描かれた人物が斜めから見ても正対して知覚される現象である.この現象は,画枠,および被描写物の持つ画像的手 がかりの存在が,物理的な存在としての絵画に対する奥行き知覚を抑制する,つまり,画枠の中に,仮想的な,「枠の中の世界」が出現するる.特に以下の二点が注目に値する.(1)絵全体と,描かれた人物の間に傾き知覚の乖離が生じ,手がかり間の相互作用, 物体の空間的表現の多重性が生じる.この時,形の恒常性は崩壊する.(2)絵画の表面には稠密な両眼視差によって平面が決定される.しかし,この平面は知覚されない.この二点は,2次元表現からの3次元物体の知覚を考える上で重要な要素であるが.本研究では,上記2点に関して検討を進め,2次元的に表現された3次元物体の知覚の本質に迫ることを目的とする 2年目にあたる19年度は,昨年度実施の,研究環境の構築,典型例のデータ収集に続き,以下の項目を重点的に実施し,国際会 議3件の発表を行った. 1.顔のオリエンテーションではなく,顔幅を指標とし,形の恒常性の崩壊過程を検討し,実験手法としての顔幅測定の 妥当性を確立すると共に,実際の実験における遂行可能性を実証することができた. 2.モナリザ効果の生起の,「顔らしさ」に対する依存性を評価するために,通常の顔刺激に加え,倒立顔,ネガポジ反転顔を用い た実験を実施し,モナリザ効果の生起の顔刺激の典型性への依存性を確認した.その結果,正立・倒立間に大きな違いがあることを見いだしたが,ネガ・ポジの効果は認められなかった.この結果は,顔の典型性が複数の要因によって決まることを示唆する. 3.顔以外の物体,路地等の光景写真を用いた実験を実施し,そうした対象に対するモナリザ効果の生起を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の3点に関してモナリザ効果の新しい側面を明確に示すことが出来た.1.顔のオリエンテーションではなく,顔幅を指標とし,形の恒常性の崩壊過程を検討し,実験手法としての顔幅測定の 妥当性を確立すると共に,実際の実験における遂行可能性を実証することができた. 2.モナリザ効果の生起の,「顔らしさ」に対する依存性を評価するために,通常の顔刺激に加え,倒立顔,ネガポジ反転顔を用い た実験を実施し,モナリザ効果の生起の顔刺激の典型性への依存性を確認した.その結果,正立・倒立間に大きな違いがあることを見いだしたが,ネガ・ポジの効果は認められなかった.この結果は,顔の典型性が複数の要因によって決まることを示唆する. 3.顔以外の物体,路地等の光景写真を用いた実験を実施し,そうした対象に対するモナリザ効果の生起を確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
20年度は,昨年度の結果を踏まえ,以下の項目の検討を進ると共に,本格的な論文の出版を目指す 1.顔以外の対象における典型性の効果. 2.本年実施を計画していた運動視差に関する実験は実施できなかった.20年度,検討を進めたい. 3.モナリザ効果における,面の成立の持つ意味. 4.手がかり間の相互作用,面の成立を取り込んだモデルの構築.
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