2018 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害児者の才能を活かす２Ｅ教育の理念に基づく特別支援の連携の方策に関する研究
| Project/Area Number |
17H02721
|
|---|
| Research Institution | Kansai University |
|---|
Principal Investigator |
松村 暢隆 関西大学, 文学部, 教授 (70157353)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 優紀美 富山大学, 保健管理センター, 准教授 (80272897)
小倉 正義 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (50508520)
田中 真理 九州大学, 基幹教育院, 教授 (70274412)
桶谷 文哲 富山大学, その他の部局等(五福キャンパス), 特命講師 (60714201)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
| Keywords | ギフテッド / 才能 / 2E教育 / 発達障害 / 高大連携 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
発達障害／学習困難児者の才能面を活かせる支援の体制・方法と、学校間の連携の在り方に関して、多方面の視点から調査、資料収集、プログラム実施を進めた。
（１）発達障害児者の才能を活かす方策について、前年度に収集した資料等を整理・分析しながら概念整理を行い、わが国で初めて2E教育に特化した編著書を刊行し、研究代表・分担者3名が分担執筆して情報発信を行った。また発達障害児の得意・興味を活かす公立小学校の通級指導教室の実践開発プログラムの検討に関わり、支援の具体的方策を探った。さらに「不協和感のある才能児」（GDF児）という発達ダイバーシティ集団の存在認識の必要性を提唱して、GDF児者の特性の自己評定尺度を開発した。
（２）富山大学で発達障害高校生大学体験プログラムが実施された際に、研究代表・分担者一同が会し、各々のゼミ生も参加してプレゼンする機会を設け、より広い視点で大学紹介を行えた。高校生は大学進学に当たっての心構えや大学へのより具体的で幅広いイメージを持つことができた。
（３）徳島県内の公立高等学校の教育相談・特別支援教育体制に継続的に寄与した。小倉は本学の相談室副室長を兼務し、教職員への発達障害等に関する理解啓発のための研修の継続的な実施、学内外機関との連携など、単科大学としての支援体制の構築とその在り方の検討を行った。大学院生の才能を活かすための促進要因に関する調査計画を調査協力者と共に進め、具体的に調査を開始した。
（４）高校から大学への移行支援として、発達障害高校生のオープンキャンパスを九州大学で実施し、それへの参加を通じて、自身の障害特性に関する把握と大学（進学）イメージの深まりとの関連が、どのように促されたのかについて検討を進めた。対人関係上の困難さの自己理解と、他者との対話で進めるアクティブラーニングとのマッチングの問題について、大学での学びのイメージの深まりが示された。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各々の研究代表・分担者によって計画された多方面の調査、資料収集、プログラム実施は、前年度の研究継承と今後の研究実践の体制の構築という点で、実情に合わせて幾らかの予定変更はあったものの、所期の目的をかなり達成したものと見なせるため。
|
| Strategy for Future Research Activity |
３年目として、発達障害や学習困難のある児童・生徒・学生の、得意・興味等の才能面を見出して活かせる、学習および社会・情緒的支援の体制・方法と、可能で望ましい学校間の連携のあり方に関する調査、資料収集、プログラム実施の結果を分析して、それらのより具体的な方策の展開を図る。
（１）発達障害児者の才能を活かす方策について、既にまとまった概念整理を基盤としながら、アメリカの学校・教育委員会訪問を加え、才能教育と特別教育の部署の連携の在り方について更に追及する。また2E児だけでなく「不協和感のある才能児」（GDF児）の特性の分析を進め、より広い発達ダイバーシティ集団のニーズに応じる支援の方法を探る。
（２）大学体験プログラムには高校生にとってより有効な情報を盛り込む必要があると考え、プログラムの内容をブラッシュアップしていきたい。例えば以下のような更により良いプログラムになるための工夫を行う。①授業体験を求める高校生が多いので、協力教員を増やし模擬授業を開催する。②高校生と大学生との情報交換のグループワークの場を設けたり、高校生どうしの情報交換の場を設定する等、自然な交流が生まれるような時間と空間を設ける。③保護者との個別相談の時間枠を設ける。
（３）徳島県内の高大連携の在り方を検討するため、複数の高校への聴き取りや本学だけでなく県内の他大学への聴き取り調査を実施し、今後の方向性を模索していきたい。同時に実習等での支援体制や支援ツールの開発のために、各種実習について発達障害学生にどのようなニーズがあるのかについて検討を進める。
（４）生徒・学生が自身のネガティブな側面や障害特性としての困難さのみでなく、強みの側面に着目していくことに通じる体験とは何かについて検討を進めていく。
|
