2020 Fiscal Year Annual Research Report
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17H02728
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
橋本 克之 東北大学, 理学研究科, 助教 (30451511)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 核スピン共鳴 / 走査プローブ顕微鏡 / 量子ホール効果 / 量子ポイントコンタクト |
Outline of Annual Research Achievements |
非平衡状態における走査ゲートイメージング法を用い、核スピン検出に重要となる量子ホールエッジ状態からの電子散乱の空間分布の観察を行った。不純物などによる静電的な無秩序ポテンシャルにより電子散乱がどのように変化するかを突きとめるため、比較的低い移動度の試料を用いて測定を行い、昨年度得られた高移動度試料での結果と比較した。その結果、低移動度試料においても、高移動度試料で見られた試料端に沿ったライン状パターンと同様なパターンが得られた。このエッジパターン内を詳細に調べることで、無秩序ポテンシャルによる電子散乱領域の強い空間変調を見出した。この空間変調は、高移動度試料では見られない輝点、暗転、リング状パターンとして観測され、詳細なイメージ解析により、強いポテンシャル変調が1μm以下の短距離で存在することが分かった。また、空間変調領域で観測された円状パターンから、ポテンシャル閉じ込めにより誘起された量子ドット状態を介した電子トンネルが散乱メカニズムの要因の一つであることが分かった。 また、量子ポイントコンタクトの核スピン共鳴イメージングにも成功した。これにより核スピン偏極が量子ポイントコンタクトの数ミクロン周辺に広がっていることが分かった。さらに、局所核スピン共鳴スペクトラムのピークシフトに空間分布があることを見出した。これは電子スピン偏極の空間変化によるナイトシフトを示していると考えられ、量子ポイントコンタクト周辺の異なるスピン偏極度を持ったエッジチャンネルに関連するものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のメインテーマである量子ポイントコンタクトの核スピン共鳴イメージングに成功してており、核スピン偏極の位置、およびナイトシフトによる電子スピン偏極の位置情報も同定しつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
局所核スピン共鳴ナイトシフト測定により、量子ポイントコンタクト周辺の異なる電子偏極度を持った領域の電子スピン偏極度空間的分布の決定を行う。また、この空間分布の磁場依存性、試料依存性の測定も行い、一次元電子系のハイパーファイン相互作用実空間観察の総まとめを行う。
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