2017 Fiscal Year Annual Research Report
高精度金型設計のための革新的粉体成形シミュレータの開発
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17H02825
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 幹夫 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (00391342)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 計算科学 / 粒子法 / 離散要素法 / 粗視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
離散要素法(以下、DEMと記す)は、粉体シミュレーションの世界標準として使われている。これまで、申請者のグループでは、符号付距離関数(以下、SDFと記す)を用いて複雑形状の金型への粉末充填シミュレーション(粉体はDEMで模擬)を世界に先駆けて実行してきた。SDFを用いた粉末金型充填のDEMシミュレーションの妥当性は、計算結果と実験結果との一致により示された。また、申請者らは、数値流体力学(以下、CFDと記す)において、埋込境界法(以下、IBMと記す)を用いて、流体解析において計算格子を再生成しないで任意形状の壁(固体)の並進・回転運動を考慮できる手法を開発してきた。このように、申請者のグループでは、DEMおよびCFDの任意形状の壁モデルを独自開発してきた。 本研究では、申請者のグループで開発したSDFおよびIBMをDEM-CFD法に導入して、改良型DEM-CFD法を開発した。改良型DEM-CFD法を空気の流動を考慮した粉末金型充填に応用した。数値シミュレーションを実行するに際して、スレッド並列計算を導入した。改良型DEM-CFD法の妥当性を検証するための実験も行った。検証項目は、粉体層の形状、粉体の空間分布、等とした。空気の流れの影響を受けやすい粉体を選定し、Shoeの速度を2種類設定した。実験では、ハイスピードカメラを用いて粉体の挙動を観察した。粉体層の形状や粉体の空間分布が計算結果と実験結果が一致したため、改良型DEM-CFD法により、粉末金型充填時の粉体の挙動を正確に模擬できることが示された。空気の流動を考慮した粉末金型充填(Shoe-Dieシステム)の数値シミュレーションは世界初の試みである。本研究成果は、数値解析手法の開発において十分なオリジナリティがあり、本分野の発展に大きく貢献することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的に当初の計画に沿って研究を実施することができた。空気の流動を考慮した粉末金型充填の数値シミュレーションを開発した。数値シミュレーションの入力に際して、実験で取得した物性値を反映することができた。Validationにおいて、数値解析結果と実験結果がよく一致したことから、本研究で開発した数値解析モデルの妥当性が示された。以上の本年度の実施内容より、おおむね順調に研究は進展したと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、当初の計画に基づいて研究を進めていく。申請者のグループで開発したDEM粗視化モデルを改良型DEM-CFD法に導入した数値シミュレーション手法を開発して、これを大規模な粉末金型充填に応用する。大規模な粉末金型充填の体系において、計算結果と実験結果が一致することを確認して、粉体の挙動を数値シミュレーションで模擬できることを示す。他方、実際の粉末金型充填では、金型の形状が本研究のものよりも複雑になる可能性がある。本事業期間中に、本研究で開発した計算手法が、どの程度複雑な形状の金型に応用できるのかも検討していきたい。
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