2020 Fiscal Year Annual Research Report
Kobayashi pseudo-distance on projective varieties and higher dimensional Nevanlinna theory
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17H02842
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山ノ井 克俊 大阪大学, 理学研究科, 教授 (40335295)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高次元ネヴァンリンナ理論 / 小林擬距離 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度の研究実績は以下の通り。本研究課題の出発点の一つはアーベル多様体の中の一般型な部分多様体は擬小林双曲的である、という定理である。2020年度は、2019年度に引き続き、この定理をコンパクトでない状況に拡張する研究を行った。すなわち、準アーベル多様体の中の対数的に一般型な部分多様体は擬小林双曲的であることを証明するための研究を行った。準アーベル多様体というのは、アーベル多様体を代数的トーラスで拡大した代数群であり、それによって、アーベル多様体と代数的トーラスを統一的に扱うことが可能になる。代数的トーラス内で一次式によって定義される(一般型な)部分多様体は擬小林双曲的になることは1970年代に証明されていたが、実はその証明の本質的な部分は1920年代のBloch,CartanによるBorel恒等式をみたす零点を持たない整関数の研究にあった。そして、実はBloch,Cartanの結果は、その主張がやや複雑なため、その意味するところを幾何学的に解釈することが難しく、小林双曲多様体論の枠組みでは、まだ捉えきれない内容を含んでいる。本研究では、単に準アーベル多様体内の対数的に一般型な部分多様体の擬小林双曲性を示すだけでなく、代数的トーラスの場合には、Bloch,Cartanの結果を超えるような一般的な主張の証明を目指している。それによって、Bloch,Cartanの結果のよりシンプルで分かりやすい一般化ができると期待される。2020年度は、このような主張の証明に必要となる、補題を数多く証明した。その結果、どのような主張が成り立つと期待するのが合理的か、かなり明らかにすることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の一つのテーマは、準アーベル多様体の中の対数的に一般型な部分多様体は擬小林双曲的であることを証明することである。これまでの研究によって、それをさらに超えて、代数的トーラスの場合には、Bloch,Cartanの結果を超えるような一般的な主張の証明が視野に入ってきた。実際、2020年度には、そのような一般的な主張がどのようなものであるか、またそれを証明するために必要となる補題を数多く証明することができた。以上から、おおむね順調に研究は進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は以下の通り。2021年度は2020年度の研究方針を引き継ぎ、準アーベル多様体内の対数的に一般型な部分多様体の擬小林双曲性を示すこと、さらにそれにとどまらず、代数的トーラスの場合には、Bloch,Cartanの結果を超えるような、より一般的な主張の証明を目指したい。それによって、Bloch,Cartanの結果のより幾何学的で、一般的かつ分かりやすい拡張が得られると期待される。2020年度までに、このような結果を証明するための補題を数多く証明している。2021年度は、これまで蓄積してきた数多くの補題を総合して、Bloch,Cartanの結果の一般化を含むような、一般的な主張の証明にまとめることを目指す。また、このようにして得られるBloch,Cartanの結果の一般化が、実際に最良であるのかどうか、具体例の構成にも取り組みたい。特に、ボレル恒等式をみたす零点を持たない整関数の組に対して、それらをいくつかのCartan対に分けた際に、その残りの関数たちが、適切な意味で小さいことを示すことが、今後目指している結果である。現在のところ、その残りの関数たちが、小さな除外集合の外で0に収束していくことを証明しようとしているが、そのような除外集合が本当に必要なのか、具体例の構成を通して調べることが必要になる。もし、そのような具体例が構成できれば、現在の方針で証明しようとしている主張が、最良に近いことを示すことになるであろうし、もし具体例の構成が出来ないならば、なぜ構成できないのか追及することによって、より一般的な結果の姿が見えてくることになると期待される。
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Research Products
(1 results)