2018 Fiscal Year Annual Research Report
Probing small scale cosmology with high-resolution radio observation
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17H02868
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
井上 開輝 近畿大学, 理工学部, 教授 (70388495)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 重力レンズ / 矮小銀河 / ダークマター / クエーサー / ボイド / 大規模構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年11月にアルマ望遠鏡で観測した重力レンズクエーサーMG J0414+0534のデータ解析を行った。その結果、当初の想定に反し、観測データに含まれるノイズがかなり大きいことが判明した。長期にわたる試行錯誤の結果、観測データの中で非常に明るいシグナルを用いてデータ較正を試みるセルフキャリブレーション法を用いれば大幅にノイズが削減されることが判明した。ノイズをセルフキャリブレーション法によって削減した結果、以前我々のチームが2015年に観測したデータと2017年に観測したデータをうまく重ね合わせることにも成功した。さらに、連続波や一酸化炭素輝線の観測データを用いて重力レンズ効果を取り除いた光源の輝度分布と一酸化炭素分子雲の速度分布の構築を行った。サブミリ波で観測された重力レンズクエーサーのまわりの星間ガスの放つ輝線データの再構築の例はこれまでにほとんどなく、非常に重要な成果であると考えられる。また、申請者らが構築した新しいアルゴリズムを用いて、拡がったレンズ像から矮小銀河スケールのサブハローや視線方向の小構造などの分布を明らかにする解析パイプラインの構築を進めた。また可視光や赤外線の観測データ(すばる望遠鏡 HSCカタログ) を用いて重力レンズ候補天体の絞り込みを行った。その結果、これまでに知られていないいくつかの重力レンズ候補天体がみつかった。それらの天体は今後のフォローアップ観測によって極めて重要な意味をもつことになる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成30年8月、観測データの解析の過程で、当初の想定に反し、重力レンズ像の観測データに 含まれているノイズが大きく、重力レンズのモデル化の妨げになることが判明した。研究遂行上、重力レンズのモデル化によって密度揺らぎの制限を行えるくらいまで、ノイズを小さくすることが必要不可欠なため、データの較正作業を行う必要が生じた。その結果遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたクエーサーのデータを基に重力レンズモデルを作成し、光源の輝度分布と重力レンズ効果に影響およぼす銀河間空間の質量密度の分布に対して制限を与える。さらに重力レンズ効果を受けた別のサブミリ銀河に対しても、クエーサーと同様な解析を行う。また、光赤外のカタログデータを用いて新たな重力レンズ候補天体をみつけたり、その探索アルゴリズムを開発する。
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