2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H02916
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石原 純夫 東北大学, 理学研究科, 教授
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Project Period (FY) |
2017 – 2019
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Keywords | 励起子絶縁体 / BiCo03 / スピンダイマー模型 / 四重極相 / マルチフェロイクス / 強相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
[1]強相関拡張された二軌道ハバード模型では、高スピン(HS)相と低スピン(LS)相の間に励起子絶縁体が現れる。この相境界付近で、弱いスピン軌道相互作用を採り入れると、HS相に内在する四重極自由度の揺らぎにより帯磁率が著しく増強されることを明らかにした。 [2][1]の励起子絶縁体の模型において、変分クラスタ法を用いてvertex補正まで取りいれ、光学電導度を計算したところ、励起子絶縁相においては鋭いピークと連続スベクトルという特徴的な構造が得られ、この構造の積分値が励起子の秩序変数でスケールすることから、この相を特徴づける観測量であることを明らかにした。 [3][1]の2軌道ハバード模型の電荷自由度をスピン自由度に読み替えたダイマースピンモデルのうちで、S=1から構成される系において3種類の四重極相を見出し、そのうちフェロネマティック相の比熱の温度依存性に特異なリエントラント現象が生じることを明らかにした。これらの四重極相は[1]の模型の励起子相と読み直すことができる。 [4]励起子絶縁体の候補物質のコバルト酸化物のうち、反強磁性と焦電性を同時に示すマルチフェロイック物質BiCo03に着目し、の第一原理電子状態計算を行った。CoサイトをFeイオンで置換した際の圧電定数の変化を調べたところ、単斜晶構造Bi(Co, Fe)03が大きな圧電定数を示すのは、Co05ピラミッド配位の頂点酸素原子が対称性を下げることなく変位することにより、ピエゾテンソルの非対角項に寄与することが原因であることが分かった。また、スピン軌道相互作用を考慮したバンド計算により、反強磁性磁気空間群の対称性から許されるラシュバ効果を示すことを計算予測した。 [5][4]のBiCo03のスピン軌道相互作用の効果の理解に参考となる有効モデルとして 反強磁性絶縁体の一般化モデルを考案し、擬スピン描像を用いて系の性質をその詳細によらず解析的に明らかにする方法論を開発した。2種類のマグノン(擬スピン自由度)が混成して熱ホール効果やスピンテクスチャを生じる機構として、過去に知られていたスピン軌道相互作用以外に、Kitaev相互作用を含め、多くの空間的に反対称な相互作用が新たに加わることを明らかにした。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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[Journal Article] Petahertz non-linear current in a centrosymetric organic superconductor2020
Author(s)
Y. Kawakami, T. Amano, H. Ohashi, H. Itoh, Y. Nakamura, H. Kishida, T. Sasaki, G. Kawaguchi, H. M. Yamamoto, K. Yamamoto, S. Ishihara, K. Yonemitsu, and S. Iwai
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Journal Title
Nat. Commun.
Volume: 11
Pages: 4138
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] 6 fs単一サイクル近赤外パルスによる有機超伝導体の第2、第3高調波発生Ⅱ2020
Author(s)
川上洋平, 天野辰哉, 伊藤弘毅, 川口玄太, 山本浩史, 中村優斗, 岸田英夫, 佐々木孝彦, 石原純夫, 米満賢治, 岩井伸一郎
Organizer
日本物理学会第75回年次大会
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[Presentation] フェムト秒時間分解X線回折によるLaCo03薄膜の電子-格子相関ダイナミクスの直接観測 Ⅱ2020
Author(s)
深谷亮, 山崎裕一, 中尾裕則, 野澤俊介, 田端千紘, 石原純夫, 久保田雄也, 富樫格, 矢橋牧名, 藤岡淳, 十倉好紀, 足立伸一
Organizer
日本物理学会第75回年次大会
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[Presentation] 光誘起構造ダイナミクス測定のためのテーブルトップフェムト秒時間分解電子線回折装置の開発2019
Author(s)
田久保耕, 靳司辰, 羽田真毅, 東正樹, 林靖彦, 桑原真人, 宮坂等, 石原純夫, 石川忠彦, 沖本洋一, 腰原伸也
Organizer
日本物理学会2019年秋季大会
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