2019 Fiscal Year Annual Research Report
Toward elucidation of behavior in updip limit of seismogenic zone
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17H02952
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 愛太郎 東京大学, 地震研究所, 教授 (20359201)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地震発生帯の上限 / 地震活動 / 高密度地震観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年熊本地震の震源域において平成29年度に取得した連続波形データを用いた波形解析を継続した。昨年度,処理の行われていなかった観測波形データに対して,自動震源処理とセンブランス解析手法を適用した。そして,超稠密地震観測網の直下で発生した微小地震を検出し,震源決定をおこなった。その結果,観測網直下の深さ2 km以浅の地表付近においては,顕著な地震活動は起きていないことが明瞭になった。この特徴は,益城町から西原村にかけて行った稠密地震観測データに基づく地震波トモグラフィー解析結果とも調和的である。布田川断層帯の北側には,地表から深さ約2 kmまで低速度層がイメージングされており,その低速度層内での地震活動はほぼ見られない。布田川断層帯の南側には,地表から深さ約2 kmまで高速度層が存在しているが,こちらにも顕著な地震活動は起きていない。布田川断層帯は,北側の低速度層と南側の高速度層との境界付近に概ね位置しており,微小地震の活動域の上限は地下構造の水平方向の不均質性に,あまり影響を受けていないと推察される。また,超稠密地震観測網直下で捉えられた最も浅い深さで起きた地震の波形解析を進めた。目視によるP波の読みとりにより,深さ2 km付近で複数のイベントが発生していたことが明らかになった。これらのイベントのマグニチュードは,-1以下のものも含まれ基盤的地震観測網のデータからは検知できない極微小地震である。これらは,北西方向に全体的に傾斜する本震の断層面の最浅部に位置しており,熊本地震に伴う地震活動の一部と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超高密度地震観測によって取得された地震波形データの解析をおおむね計画通りに実施できたものの,地震波形データに含まれる人工的なノイズへの対処が自動処理にとって課題である点も判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
超高密度地震観測によって取得した地震波形データの解析を継続することで,地震発生帯の浅部で発生する地震活動に関する研究を進める。特に,今年度に検出された最浅部の地震をテンプレートとして用いて,連続波形を用いてMatched Filter法により更なるイベント検出を試みる。また,機械学習に基づく地震波の自動検知技術の導入等により,震源断層周辺の微小地震の検出を試みる。
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Research Products
(1 results)