2018 Fiscal Year Annual Research Report
首都圏の突発的・局地的豪雨の解明に向けた次世代都市気象予測システムの開発
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17H02964
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
清野 直子 気象庁気象研究所, 予報研究部, 室長 (70354503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 健太郎 気象庁気象研究所, 予報研究部, 研究官 (40636031)
小田 僚子 千葉工業大学, 創造工学部, 准教授 (50553195)
瀬古 弘 気象庁気象研究所, 予報研究部, 室長 (60354445)
菅原 広史 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 応用科学群, 教授 (60531788)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 都市気象 / 気象予測 / データ同化 / 都市キャノピースキーム / 局地豪雨 |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代都市気象予測システムにおいて、都市キャノピースキームにおける予報サイクル化の改良を進めた。また、都市キャノピースキームを導入した気象庁非静力学モデルを用いて、都市地表面パラメータを変化させた感度実験を行い、都市の特徴が冬季夜間の地上気温に与える影響を調査した。都市化に伴う夜間の冷却抑制の寄与が最も大きかったのは、建物の有無と熱特性による違いであった。さらに、建物の高層化に伴う熱輸送の増加や天空率の減少は、都市部の夜間気温低下を抑制することがわかった。 気象研究所で開発された大気海洋結合同化システムと衛星海面水温観測データを用いて、局所的豪雨の解析を実施した。衛星海面水温データ同化により、2015年関東東北豪雨における線状降水帯はより現実的に再現された。一方で2017年7月の関東地方における局所的豪雨に関しては衛星海面水温観測データ同化の効果はほとんど現れなかった。 練馬区とつくば市において夏季と冬季に計9日のゾンデ観測を実施したほか、ドップラーライダーによる大気下層風の観測を行った。2018年1月22日の首都圏大雪事例では、ゾンデ観測から、地上降雪開始直前に高度約2km以下で顕著に高湿化・低温化し、Cold-Air Dammingによる北寄りの下層風強化が起こっていたことが確認できた。次世代都市気象予測システムの予報サイクル化計算では夏季の大手町における気温の再現性が向上していた。冬季は地上気温が高すぎる傾向があった一方、予報サイクル化を行った方が日中の混合層の発達高度はより観測に近かった。 気象庁大手町露場内の2地点で熱電対温度計により観測された気温の鉛直分布について、風通しの影響を調査した。周囲が物体に囲まれている方では地上2.5mにおける風速が小さく、地上2mまでの各高度の気温も高いことがわかった。また、気温変動の解析からプルームや冷気の下降の様子が捉えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね当初の計画に沿って研究を進め、次世代都市気象予測システムの改良、感度実験、観測データのインパクト調査などを実施した。次世代都市気象予測システムによる同化実験についてはやや進捗が遅れているものの、観測データの取得を継続し、それらを用いた検証・解析を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初研究計画に沿って、引き続き次世代都市気象予測システムによる同化実験と解析を進めると共に、第二年度までに行った夏季・冬季の検証観測との比較検証結果をとりまとめる予定である。
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