2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the highly difficult oxidation reaction with chlorine dioxide
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17H03010
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大久保 敬 大阪大学, 先導的学際研究機構, 教授 (00379140)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | メタン / 酸化 / 酸素 / 二酸化塩素 / 光反応 / C-H活性化 / フルオラス溶媒 / ラジカル |
Outline of Annual Research Achievements |
除菌・消臭剤の有効成分として知られている二酸化塩素(ClO2)の特異な反応性に着目して研究を進めてきた。二酸化塩素は塩素1原子と酸素2原子からなる単純な分子である。この二酸化塩素だけでも酸化力を有するが反応性はそれほど高くなく、ごく限られたアルケンを酸化できることが数例報告されている程度であり、メタンを酸化するまでの強力な反応性は持ち合わせていなかった。しかし、この二酸化塩素に光照射をすると、酸素-塩素結合が速やかに開裂し、塩素ラジカルと一重項酸素がそれぞれ1分子ずつ同時に生成することがわかった。塩素ラジカルはメタンから水素を引き抜くことができ、一重項酸素はメチルラジカルを酸素化して、メタノールとギ酸を与える。その結果、メタノールの収率は14%、ギ酸が85%得られた。メタンの代わりにエタンでも同様に反応は進行し、エタノールが19%、酢酸が80%の収率で得られた。いずれの場合もほぼ100%のガス燃料が二酸化炭素の排出なしに有用な液体化学物質に変換されることがわかった。 メタンを酸化するためには、高活性な反応中間体の反応性の制御を行わなければならなかった。すなわち塩素ラジカルやメチルラジカルなどが失活しないような反応系を設計する必要があった。そこで我々は、フルオラス溶媒と水の二相反応系を考案した。このフルオラス溶媒として使用したパーフルオロヘキサンは、分子内にC-H結合がなくC-FとC-C結合だけで構成されている溶媒である。すなわち、反応中に生成する様々な高活性ラジカル種と反応することはない。またさらに都合が良いことに、メタンや酸素などのガスを多く溶かす性質を持ちあわせていたので、反応をより効率よく進めることができたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定したメタンの酸素による酸化反応の開発が計画通りに進んだ。メタンから,メタノールの収率も世界最高値を記録し、論文として発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
メタンの酸化反応は最も難しい化学反応の一つと言われてきた。すなわちこの反応方法を応用すれば、全化学工業プロセスの約30%を占めている酸化反応プロセスの大半を本反応あるいは関連反応によって置き換えることが可能になることを目指して研究を続ける予定である。
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Research Products
(24 results)