2018 Fiscal Year Annual Research Report
Proposal of in-situ observation method for solidified elastohydrodynamic films
Project/Area Number |
17H03166
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
八木 和行 九州大学, 工学研究院, 准教授 (50349841)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | トライボロジー / 固化 / レオロジー / その場観察 / FT-IR |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度には,FT-IR測定装置に組み込む専用の実験装置を購入して実験を行った.この実験装置は,回転するディスクと鋼球とのすべり転がり接触が可能な構造である.潤滑面の片側表面であるディスクの材料には,耐圧性および耐摩耗性が高いサファイアを主に使用し,低波数の赤外吸収スペクトルも観察可能とするため,より赤外透過波長域が広いフッ化カルシウムも用いた.また,この実験装置は温度制御が可能な構造とし,高温側だけでなく,-30℃までの低温側の制御も可能とした.FT-IR測定装置については,潤滑油分子の配向特性を調べるために偏光板を追加で購入した.実験装置購入後,FT-IR測定装置の測定精度を確かめるため,静的条件において,測定面積やスペクトルの積算回数をパラメータとして最適なFT-IRの測定条件を調べた.その後,動的条件での赤外吸収スペクトルの計測を行った.動的条件での実験については,平成29年度に行ったアルコールの一種であるドデカノールを潤滑油に用いた場合の固化膜発生条件で実験を行った.速度条件については,二表面の平均速度を一定にし,純転がり条件からすべり転がり条件へと条件を変化させて測定を行ったが,測定点については,測定を成功させることを最優先とするため,多点測定は行わず,潤滑面中心部のみに限定した.その結果,サファイアをディスク材料に用いた場合,動的条件下での油膜厚さが数百nm程度の薄膜条件においても問題なく赤外吸収スペクトルの測定を行うことができた.その一方,フッ化カルシウムをディスク材料に用いた場合,耐摩耗性が低いため,すべり転がり条件ではディスクの摩耗が生じ,十分な測定を行うことが困難なことが明らかとなった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験装置の構造や仕様などの詳細決定に時間を要したため,納品が遅れることとなったが,納品後の実験装置の稼働状況に特に問題が生じなかった.このため,当初予定していたとおり,動的条件での赤外吸収スペクトルの測定を終えることができた.平成30年度は動的条件での測定を成功させることが最優先であったため,潤滑面の面内分布の測定を行わず,潤滑面中心部での測定のみにとどめた.しかし,動的条件下での赤外吸収スペクトルの測定条件を十分に調べることができ,面内分布の測定は実験数を増やすことのみで対応可能なため,大きな遅延にはなっていない.フッ化カルシウムの耐摩耗性の問題については,すべりがない純転がり条件での実験を優先的に行っていく予定である.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成31年度には,前年度までに導入したFT-IR測定装置および専用の実験装置を引き続き使用して実験を行う.本年度では入口部から潤滑面中央部,そして出口部にまでかけた多点計測を行い,赤外吸収スペクトルの変化を調べる.ディスクの材料には,サファイアよりも赤外透過域の広いフッ化カルシウムも用い,固相と液相の赤外吸収スペクトルの差異が大きい低波数側に着目した測定も行う.なお,フッ化カルシウムはサファイアと比較して耐摩耗性が著しく劣り,すべりをともなう条件での実験が困難であることが平成30年度に行った実験で明らかになったため,すべりのない純転がり条件での実験を主に行う.
|