2017 Fiscal Year Annual Research Report
複数添加剤併用系における吸着層の形態カテゴライズとナノトライボロジー特性
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17H03167
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
平山 朋子 同志社大学, 理工学部, 教授 (00340505)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | トライボロジー / 潤滑 / 添加剤 / 境界潤滑層 / 界面構造 / ナノトライボロジー特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
エンジンオイルのさらなる高性能化を目指し、MoDTCと無灰FMの併用時に形成される界面構造を調べた。また、先端に球が取り付いたコロイドプローブをカンチレバーとする原子間力顕微鏡(コロイドプローブAFM)を用いて摩擦試験を行うことにより、界面に形成される境界潤滑層のナノトライボロジー特性を調査した。なお、本実験においては、モデル基油にヘキサデカンを、モデル無灰FMにパルミチン酸を用いた。また、下地材にはスパッタリングによって成膜した銅を用いた。得られた結論を以下に示す。 ・中性子反射率法、全反射赤外分光法、周波数変調式原子間力顕微鏡法などを用いてMoDTCおよび無灰FM併用時の界面構造を調べたところ、単体使用時に比べて高密度化した境界潤滑層が形成されることが分かった。また、単体使用時の化学反応とは異なる反応で境界潤滑層が形成されていることが示唆された。 ・コロイドプローブAFMでMoDTCおよび無灰FM併用時に形成される境界潤滑層の摩擦特性を調べたところ、単体使用時に比べて広い荷重範囲で安定的に摩擦係数を低減し得ることを確認した。 ・MoDTCによる摩擦低減効果と言えば、これまではMoS2の形成に依るとの考え方が最も一般的であり、MoS2の形成を如何に促すかがキーとなってきた。そのような観点で見れば、本研究で示した無灰FMとの併用はMoS2の形成を抑制するものであるにも拘わらず、最小の摩擦係数を示す結果となった。併用時に厚く高密度な境界潤滑層が形成されていたことを考えると、併用によってこれまでにないタイプの境界潤滑層の形成が促され、それが摩擦係数低減を招いたと推察できる。今後この原理が解明できれば、新しいコンセプトに基づく摩擦低減メカニズムの提唱と開拓に繋がる可能性が高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
MoDTCおよび無灰FM併用時の境界潤滑層の構造および摩擦特性の取得が完了したことから、当初の予定通りに進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
・併用によって高濃度化した境界潤滑層が形成されることは分かったが、そのメカニズムは未だ不明である。この化学構造を解明すべく、放射光XAFS分析を試みる。 ・MoDTCとパルミチン酸以外の組み合わせにおいても同様の結果が得られるのかどうか調査する。また、基板の種類を変化させ、基板の影響も確認する。
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Research Products
(6 results)