2018 Fiscal Year Annual Research Report
Research on physical properties of SiGe clathrate having direct gap in visible region
Project/Area Number |
17H03234
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
久米 徹二 岐阜大学, 工学部, 教授 (30293541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福山 敦彦 宮崎大学, 工学部, 教授 (10264368)
鵜殿 治彦 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (10282279)
大橋 史隆 岐阜大学, 工学部, 助教 (20613087)
今井 基晴 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 上席研究員 (90354159)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | クラスレート薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
SiGe混晶クラスレートNax(SiyGe1-y)136については、Na量をほぼゼロ(ゲストフリー化)にするための手段として、真空熱処理およびイオン液体を組み合わせる手法が有効であることが確認できた。これにより、様々なSi/Ge組成比の前駆体Na(SiyGe1-y)から、クラスレート化を行い、Geリッチ(0.2<y<0)又はSiリッチ(0.8<y<1)領域でのゲストフリークラスレートの作製に成功した。得られた粉末試料に対して行ったXRD測定とリートベルト解析により、Si、Geが占めやすい結晶サイトの存在を確認した。一方、Si/Ge比が1:1に近い場合、非晶質成分が非常に多い試料が得られ、結晶化が困難であることが分かった。 Geクラスレート(NaxGe136)については、透明なサファイア基板上への薄膜作製法を確立した。ゲストNa量を効率よく減少させるため、電界を印加する方法を試行した。結果は良好であり、十分にNa量が減少したゲストフリーGeクラスレートを得ることに成功した。得られた試料に対し、赤外・可視光吸収測定を行った結果、吸収端および自由キャリア吸収による光吸収をはっきりと観測した。また、オーミック接触を形成する電極金属を見出したうえで、ホール効果測定を行い、電気抵抗率、キャリア密度、移動度をはじめて見積もることに成功した。 Siクラスレート薄膜の高品質化のため、前駆体NaSi膜からクラスレート化する際の真空熱処理に工夫を施した。それにより、Naの減少スピードを制御することにより生成する膜の性質や構造が異なることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Geクラスレート薄膜のゲストフリー化のため、開発した電界を印加してNaを減ずる手法は、SiやSiGe混晶クラスレートにも応用できる画期的な方法である。この手法により半導体的性質を示すゲストフリークラスレート薄膜を容易に得ることが可能になった。作製したゲストフリーGeクラスレート膜を用いた各種測定により、光学物性と電子物性が明らかになりつつある点を考えると、研究は飛躍的に進んだと言えよう。一方で、SiGeクラスレートでは、現状ではまだ薄膜化に至っていないが、出発材料としてのSiGe薄膜の作製は行っており、本年度中には作製できると考えている。以上の事から、研究の進捗は、概ね順調に推移していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
SixGe1-x混晶クラスレート薄膜作製法の確立を行い、さらに薄膜の評価を行う。具体的には以下の項目からなる。 1.前駆体Na(SixGe1-x)膜の作製と評価:SiGeクラスレートの前駆体であるジントル相化合物Na(SixGe1-x)薄膜を以下の手順で作製する。①各種基板(サファイア、Si、金属)上への非晶質SixGe1-x薄膜の蒸着。②ステンレス製密閉容器内で、Na蒸気との反応からNa(SixGe1-x)を得る。 2.クラスレート化真空熱処理の最適化:各種真空熱処理条件により、品質の高いクラスレート薄膜材料の作製法を確立する。これは、Si、Ge、SixGe1-xの各クラスレート薄膜に関して行う。また、Naを完全に除去する方法について電界を印加する方法により行う。 3.クラスレート薄膜の評価:得られたクラスレート薄膜のキャラクタリゼーションを行う。XRD、ラマン散乱、SEM、赤外可視紫外吸収測定、EDXなど試料評価を行うと共に、ホール測定など電子物性評価を行う。実験的に得られた、光学物性データ(光吸収係数、屈折率、発光スペクトル)、電子物性データ(キャリア密度、移動度など)を第一原理計算に基づく予測と比較を行い、クラスレートの物性理解を深める。
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Research Products
(17 results)