2017 Fiscal Year Annual Research Report
河川・土砂災害リスクを考慮した広域道路ネットワークの道路整備計画手法の構築
Project/Area Number |
17H03318
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
有村 幹治 室蘭工業大学, 工学研究科, 准教授 (40548062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅田 拓海 室蘭工業大学, 工学研究科, 助教 (50634680)
内田 賢悦 北海道大学, 工学研究院, 教授 (90322833)
萩原 亨 北海道大学, 工学研究院, 教授 (60172839)
高橋 清 北見工業大学, 工学部, 教授 (50236270)
山田 朋人 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (10554959)
川村 志麻 室蘭工業大学, 工学研究科, 准教授 (90258707)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 河川・土砂・気象災害 / 道路整備計画手法 / 交通ビッグデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年に東北・北海道を襲った台風10号は、河川氾濫に伴う橋の流失や大規模な土砂崩れを各地で発生させ、地域社会を支える主要幹線に壊滅的被害をもたらした。このような異常気象に対して、今後数十年から百年先まで見据えた広域道路ネットワークの構築が必要となるが、従来、河川流域計画及び地盤整備計画と道路整備計画は、防災・減災の視点から十分に連動しておらず、どの程度、復旧する道路の整備レベルを向上すべきか定量的に評価できない問題があった。そこで本研究では、大規模な気象災害を対象に交通ビッグデータを用いて広域道路ネットワークの被災の影響を長期間・広域的に把握した上で、河川・土砂災害による潜在的な道路被災リスクを考慮した広域道路ネットワークのレジリエンス向上のための道路整備計画手法の構築を行う。 平成29年度の研究実績は以下となる。 (1)平成28年台風10号前後の交通ビッグデータを用いて,被災事前事後の移動実態の変化を把握した。また、一般国道と高速自動車国道が並行する区間を対象に、道路被災確率と対象期間全体における確率的通行止め時間推定モデルの提案を行った。気象災害の一つとして、冬期暴風雪時の通行規制が与える地域社会への減災効果と地域住民の減災行動の学習過程を明らかにした。 (2)平成28年を対象とした十勝川流域における洪水流の特徴、十勝川上流域を対象とした豪雨の地形依存性の検討、北海道の年最大降雨イベントを対象とした地形性豪雨の分類を行った。 (3)北海道に分布する風化残積土の物理・力学挙動とその工学的評価 土砂災害の主因である国道274 号日勝峠と北海道横断自動車道の災害発生地点周辺から採取した花崗岩の風化残積土とその堆積物(周氷河性斜面堆積物)の物理・力学特性を明らかにした。併せて、北海道内の火山灰質土の力学特性の比較から、風化が進行している土質材料の工学的評価手法の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度までの進捗状況は以下となる。 被災時の道路交通の実態解明について、平成28年台風10号前後の交通ビッグデータを用いて市町村単位での入込人口の変化を把握した。また、国道274 号日勝峠と北海道横断自動車道の通行止めに伴う移動経路の変更について、関係機関へのヒアリングと交通ビッグデータから明らかにした。理論研究としては、一般国道と高速自動車国道の並行区間を対象とした確率的通行止め時間推定モデルの提案を行った。道路の被災回数と、道路の被災後から復旧するまでの待ち時間に確率分布を設定することによって、評価対象期間における通行止め期間を対数正規分布に従う確率変数として求めることが可能となった。また、マルチハザードとして、冬期暴風雪時の通行規制が与える地域社会への減災効果を明らかにするため、北海道東部の中標津町における通行規制を伴う暴風雪時を対象に、客観的影響としてビッグデータによる交通行動調査、アンケートによる主観的な住民の防災意識調査を行った。その結果、中標津町とその周辺住民は交通行動を中止することで暴風雪時のリスクを回避していた。意識調査からは、通行規制による影響を住民は受けているものの、通行規制による安全効果に理解を示していることが示された。暴風雪時のリスク回避行動が受容されていることが明らかとなった。 上記に併せて、平成28年十勝川流域を対象に、洪水流の特徴把握、豪雨の地形依存性の把握、また北海道の年最大降雨イベントを対象とした地形性豪雨の分類、北海道に分布する風化残積土の物理・力学挙動とその工学的評価を行った。北海道を直撃した3 個の台風による雨は「前線と台風」、太平洋側から接近した台風10 号は「地形性降雨」が発達した異例のパターンであった。また土壌の湿潤状態が飽和に近づき、降雨量に対し流出量が増加しやすい条件となっていたことが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は以下となる。 (1)道路リンクにおける潜在的被災リスクの評価:大規模気象災害時に決壊の可能性がある地区、また土砂崩れ等により道路が被災する可能性のあるエリアを、被災時の降水履歴や土砂災害発生状況から推定する。確率日雨量を用いた河川氾濫発生確率モデル及び土砂災害発生確率モデル、及び橋やトンネル等、道路リンク上に設置されている道路構造物の配置から、道路リンクの潜在的な被災リスクを評価する。 (2)道路リンクの潜在的被災リスクを考慮した道路ネットワークの確率的連結信頼性評価モデルの構築:被災前の段階において、大規模な気象災害に対して強靭な道路ネットワークを構築することを目的に、前年度までに構築した潜在的被災リスク評価モデルを用いて、実道路ネットワークを対象とした確率的連結信頼性を評価する手法を構築する。今後は、提案するモデルを実際のネットワークに適用するとともに、道路ネットワークの被災に伴って生じる迂回交通による混雑の影響を考慮できるよう、モデルの拡張を検討する予定である。 (3)河川・土砂災害災害リスク評価モデルの検討:河川災害リスクを評価するため、十勝川流域における洪水流の特徴、十勝川上流域を対象とした豪雨の地形依存性を把握する。また北海道の年最大降雨イベントを対象とした地形性豪雨の分類を行う。土砂災害リスク評価に関しては、北海道内に多く分布する風化花崗岩・風化残積土の物理・力学挙動、及びその工学的評価を行う。
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Research Products
(14 results)