2018 Fiscal Year Annual Research Report
高い表面原子密度を有し点欠陥密度を極少化した精緻なステップテラス構造の構築
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17H03378
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 剛久 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20220478)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 表面 / 原子構造 / STEM / TEM / EELS |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、LSAT単結晶基板を実験対象として、熱処理履歴を与えない室温表面処理技術の開発と、その処理後の試料表面原子構造観察、および、一般的な熱処理後の試料表面状態との比較を行った。これらの比較を行うために、未だ未知であるLSAT基板表面原子構造に関する知見を、主に超高分解能STEM観察によって基礎的知見を集積した。単結晶の基板方位はA/B-siteカラムを完全に区別して観察できる(011)とし、TEM試料薄片は基板表面同士をTEM試料用接着剤で張り合わせたのちに、表面平行方向から観察するCross-section試料とした。原子構造の観察、解析を行った結果、まずas-grown LSAT結晶では、結晶中にB-siteの規則配列構造が共存することが見出された。この規則構造は、B-してに配位するAl、および、Taイオンが交互に配置し、NaCl型配位となる構造である。また、表面ステップテラス構造構築のために熱処理を実施した基板では、最表面部にこの規則構造領域が存在しないことが分かった。B-site配位のAl,Taイオンは規則性を有せずにランダム配位となった。すなわち、熱処理による点欠陥形成が影響し、基板表面での原子構造の再配列が誘起され、その結果、本来含まれるはずの規則構造が消失したものと考えられる。一方、熱処理を用いずに室温処理で基板表面原子構造を形成させた単結晶の場合には、最表面部に規則構造が維持されていることが明らかとなった。これらの知見に関しては、現在論文として落ちまとめている状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
単結晶基板の熱処理時に生じる表面上への汚染の除去が極めて重要であることが見出された。このための新たな熱処理炉の改良等に予想外の時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記したように、熱処理に用いている電気炉の改良がすでに終了したので、今後は予定しているSTO,LSATをはじめとしたセラミック単結晶基板を使用して、順次、基板最表面部の原子構造解析等を行っていく。
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Research Products
(3 results)