2018 Fiscal Year Annual Research Report
Innovation of bulk nano-structured commercial purity Ti with utra-high strength and high ductility utilizing TWIP effect
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17H03409
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
渡邊 千尋 金沢大学, 機械工学系, 教授 (60345600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 博己 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30219589)
都留 智仁 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究職 (80455295)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 工業用純チタン / 巨大ひずみ加工 / バルクナノメタル / 双晶誘起塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
多軸鍛造法で作製された,超微細粒組織を持つ,バルクナノ(BN: Bulk Nano-structured)純Tiは,極めて高い強度/延性バランスを有し,軽量構造材料として非常に魅力的である.HCP構造を有する金属材料においては,すべり変形とともに変形双晶が塑性変形に対して重要な役割を持つ.さらに,塑性変形中に変形双晶が形成することで延性が著しく向上する双晶誘起組成(TWIP)効果が生じること場合がある.BN純Ti中での変形双晶形成のメカニズムを明らかにする事が出来れば,TWIP効果によりBN純Tiのさらなる高強度・高延性化が期待できる.本研究では,材料工学的・計算力学的アプローチから,TWIP効果の付与実現によるBN純Tiのさらなる機械的特性の向上を目的としている. 当該年度の研究実績として,BN純Tiの変形メカニズムを調査した.変形後の詳細な組織観察と引張試験中のその場X線回折測定より,粗大粒材では基本的に柱面すべりが活動していると判断された.一方,BN純Tiでは,高い降伏強度により柱面と錐面が同時に活動し,多重すべりが延性の改善と,ND//(10-10)からずれた集合組織形成に寄与したと考えられた.また,HCP構造を持つTiの塑性変形能に大きな影響を与えるc軸方向への補足変形についても,粗大粒材では変形双晶がその役割を担うのに対して,BN純Tiでは錐面すべりが活動することを示した.さらに,計算力学的観点からも変形メカニズムの調査を行った.HCP構造を持つチタンを対象に,合金元素の転位運動への影響を詳細に検討した.その結果,転位のすべりのPeierlsポテンシャルは柱面と底面で大きな違いがないが,AlやVの添加によって転位芯構造の安定性が変化し,すべり変形のモードが変化することを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度では, (1) MDF加工のプロセスの改善, (2) 変形双晶形成の結晶粒径依存性の調査, (3) 置換型固溶元素と転位の相互作用の検討を当初計画の目的としている.当該年度にこれらの3項目を全て実施,(1)については,MDF加工と圧延を組み合わせることで,強度がさらに向上することを確認した.(2)と(3)については「研究実績の概要」に述べたとおりである.以上の事より,当初の計画に従って,概ね順調に進捗していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に当たる今年度は,(1) MDF加工のプロセスの改善,(2) 変形双晶形成の温度・ひずみ速度依存性の調査(渡邊)(三浦),(3) 侵入型固溶元素と転位の相互作用・固溶元素の転位運動への影響の検討を行う事を目的としている. (1)については,平成30年度に引き続き,MDFプロセスの最適化を進める.(2)については,結晶粒径の異なるバルクナノ純Tiに温度77 K~室温の温度範囲で,幅広いひずみ速度にて引張試験を施し,変形双晶形成の温度・ひずみ速度依存性を検討する.(3)については,平成30年度(3)と同様に,転位芯近傍の格子間サイトの固溶元素の影響を評価し,置換型・侵入型固溶元素に対する遷移状態解析を実行し,転位運動への影響を明らかにする.以上を通して,得られた結果を総合して,i) 変形双晶形成のための合金設計指針の確立,ii) 加工プロセスの最適化を行い,バルクナノ純Tiの超高強度・高延性化に対する指導原理を確立を目指す.さらに,最適化した条件で作製した試料を用いて,機械的特性の最終評価を行い,本研究の総括とする.
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