2017 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー誘起転写法による二次元ナノ構造の形態・組織制御と高密度ナノデバイス応用
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17H03423
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 貴宏 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (50400429)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | レーザー誘起前方転写法 / 超短パルスレーザー / レーザープロセッシング / ナノ・マイクロ構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,レーザー誘起前方転写法(Laser-Induced Foward Transfer,LIFT)を用いて二次元ナノ構造の形態および組織制御と高密度ナノデバイスへの応用を目的としている.一般的なLIFTでは横断面強度分布がガウス分布の超短パルスレーザー光を,透明基板(キャリア)上に堆積した薄膜物質(ドナー)に対して透明基板側からシングルパルス照射し,レーザー照射部の一部を対向する基板(アクセプタ)上に転写するため,転写物の構造は球状あるいは円盤状となる.一部,マスクを用いて入射レーザー光の横断面強度分布を制御し,その形状を反映した転写物の形成に関する報告はあるものの,レーザーを照射する対象は薄膜物質であり,転写物のサイズは数十マイクロメートルオーダーである.あらかじめ形成した二次元構造体の形状を維持したまま対向する基板上に直接形成する広告はこれまでになく,そのためには対象とする構造体のサイズに寄らない横断面強度分布が均一なビームの形成と,パルスレーザー光のエネルギーを吸収し,構造体転写のための駆動力を生じる光吸収層を導入することが必要となる. 上記課題を踏まえ本年度は,レーザービームホモジナイザを導入することで,フェムト秒パルスレーザーのガウスビームを円形のフラットトップビームに変換した.光吸収層として厚さ数ナノメートルのアモルファスカーボン薄膜を採用し,リソグラフィプロセスを用いて作製した異方性を有する金のマイクロパッド構造の直接転写を試みた.アモルファスカーボンを光吸収層として用いることで,転写のためのレーザーエネルギー閾値が低下することが分かった.さらに,ホモジナイザを用いて変換したフラットトップビームは,ガウスビームを用いた場合と比較して転写後のマイクロパット構造の形状維持に有効であることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はLIFT実験のための光学系を製作し,LIFTを用いた二次元構造体形成のための基礎実験を行うことができた.光吸収層として用いたアモルファスカーボンが,転写物に残渣として混入すること,転写された金マイクロパッド構造の表面に凹凸が生じることが課題として明らかとなり,レーザー光を吸収して自身は分解しつつ転写物に推進力を与える物質の選定が必要であることが示された.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では市販品のレーザービームホモジナイザを用いて実験を行ったが,使用するパルスレーザーの直径やビームの拡がり角によって,変換されるレーザー光の横断面強度分布の均一さに違いが生じることが示されている.したがって,使用するレーザー光の特徴に合わせたホモジナイザの設計を行い,より均一な横断面強度分布を有するレーザー光の形成を試みる.また,光吸収層についてはレーザー光の波長領域に吸収を持ちレーザー照射により分解されるもしくは転写後の除去が容易な物質を選定する.
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