2017 Fiscal Year Annual Research Report
Innovative Improvement in Combustion Characteristics of High Viscosity and Flame Retardant Material to Create Economic Value
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17H03490
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
段 智久 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (80314516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 秀雄 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 教授 (90253020)
松村 千里 (財)ひょうご環境創造協会(兵庫県環境研究センター), 兵庫県環境研究センター水環境科(安全科学担当), 研究員(移行) (30446794)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 熱機関 / 代替燃料 / 排気エミッション / 環境影響評価 / PM / PAH / 変異原性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,液化ジメチルエーテル(DME)を連続混合する装置製作の基礎実験として,木タールの流動特性を調べ,既得の加圧型定容容器混合装置を使用して各種燃料の燃焼特性解析を行なった。 木タールの流動特性として回転粘度計を用いて粘度計測を行なった。その結果,供試木タールの粘度範囲は比較的軽質な重油と同程度であることを得た(約1000cP (=1 Pa・s)@14℃,約50cP (=0.05Pa・s)@50℃)。この粘度範囲の燃料に対する液化DME混合による粘性改善効果は,重量割合30%の液化DME混合でエンジン使用可能な条件となることを研究代表者の既報告の研究で得ている。そこで,この混合割合を条件として連続混合装置の基本設計を行なった。初年度は,二種の燃料を回転槽の中で攪拌しながら混合する装置(攪拌実験装置)を製作した。 定容量燃料混合装置を使用して液化DME混合時における各種燃料の燃焼特性について予備的な解析を行なった。まず難燃焼性の高粘度植物油に液化DME30wt.%を混合した試験油について,熱効率や排気エミッションのエンジン性能を解析した。その結果,DME未混合の植物粗油と同程度の熱効率を保ちながら,窒素酸化物と粒子状物質(PM)の排出を同時低減できるという知見を得た。 また,比較的軽質な重油に液化DMEを混合した試験油について,排ガス中PMの化学的及び生物的評価を行なった。PMを有機溶媒で抽出し、カラムで4分画して変異原性を評価したところ,第2,第3画分には第1画分よりも強い変異原性が認められた。また、PAHs16種とNPAHs6種を分析し、特に第2画分からフェナンスレンや1-ニトロピレン等が検出された。一方,無機元素成分分析では多くの元素が検出下限値未満となったため,今後は捕集方法を再検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
入手木タールについて,流動特性を調査したこところ,過去に液化ジメチルエーテル(DME)混合の研究で有効性が認められた試験油(軽質なC重油)と同程度の粘度範囲にあることが明らかになった。その研究知見を基に,本課題で開発を目指す液化DME連続混合装置(以下,連続燃料混合装置)の混合条件を定めることが可能となり,速やかに改質燃料を調製する装置の基本設計を行なうことができた。装置は,二種の燃料を混合する装置部分(以下,攪拌実験装置)と燃料の揮発を抑制する装置部(以下,高圧容器実験装置)分に分けて製作をすることとし,初年度は前者を製作することができた。 攪拌実験装置は,回転する中空円筒(回転槽)の中に二種類の燃料を注ぎ込み,遠心力で円筒内壁上に滞留させながら,ブラシ構造の攪拌子によって混合を促進させるものである。混合された燃料は,翼列構造を内部にもつ求心ポンプによってエンジン側に供給するシステムとした。二年目となる平成30年度は,この攪拌装置の動作特性を確認しながら,高圧容器実験装置部分の製作を行なっていく。 また混合燃料の燃焼特性の解析として,既得済みの加圧容器内での液化DME混合調製装置(以下,定容量燃料混合装置)を用いて,上述の有効性のある液化DME混合割合を条件に各種ベース燃料の燃焼特性の解析に着手した。高粘度植物油をベースにした場合,エンジン性能を維持しつつ,排気エミッションの改善が可能であることを明らかにすることができた。また,排ガス中の粒子状物質(PM)の環境影響評価において,その変異原性の有意性を確認することができた。さらに,化学的な分析・評価において,PM捕集方法で検討すべき具体的な課題を抽出することができた。 以上のように,開発を目指す燃料供給装置は早期に完成できる見込みであり,燃焼成分の環境影響評価も分析手法の有効性・課題が検証できているので,区分(2)と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
連続燃料混合装置については次のとおりに計画している(研究代表者:段 智久)。初年度,入手した木タールについて単体の粘度計測を行なった結果,液化DME混合割合30%でエンジン使用可能条件となると判断した。この混合割合を基本条件として連続燃料混合装置の設計を初年度に行ない,二種の燃料を回転槽の中で攪拌しながら混合する装置(攪拌実験装置)部分を製作した。平成30年度は,その装置の基本性能を確認しながら詳細な調整を行ない,あわせて,高圧下雰囲気中で液化DMEの揮発を抑制しながら同装置が稼動できるようにする(高圧容器実験装置)。これによって連続混合装置を完成させていく。 改質燃料の燃焼特性解析については次のとおりに計画している。既得の定容量燃料混合装置を活用しながら,液化DME混合割合30%にて各種ベース燃料の燃焼特性解析に着手していく。燃焼の進展が緩慢な高粘度燃料の解析に適した3気筒予燃焼室式ディーゼルエンジンを供試機関とし,混合燃料の燃料消費や排ガスの機関性能を計測する(研究代表者:段 智久)。 あわせて,排ガス中のPMを採取し,多環芳香族炭化水素や金属成分含有量などの化学的評価(研究分担者:松村千里,研究協力者:中坪良平(兵庫県環境研究センター),羽賀雄紀(兵庫県環境研究センター))および変異原性を主とした生物的評価(研究分担者:岡村秀雄)を実施する。初年度,既存のPM採取方法(フッ素化合物で表面処理をしたガラス繊維フィルタ上にPM採取)で試行解析を行なった結果,幾つかの課題(フィルタ種類,暴露条件など)を抽出することができたので,平成30年度以降は最適なPM試料採取方法の確立と検証を行ない,改質燃料の燃焼エミッションの環境影響を明確に評価していく。
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Research Products
(4 results)