2017 Fiscal Year Annual Research Report
酸性鉱山廃水発生防止のためのキャリアマイクロエンカプセレーション技術の新展開
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17H03503
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
廣吉 直樹 北海道大学, 工学研究院, 教授 (50250486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 真由美 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (10339690)
タベリン カーリット 北海道大学, 工学研究院, 助教 (60626125)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 黄鉄鉱 / 鉱山酸性廃水 / カテコール / 金属イオン / 錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
Fe3+,Fe2+,Al3+およびTi4+のいずれか一つの金属イオンとカテコールの錯体を用いたCME(単味CME)の処理実験を実施し,黄鉄鉱表面への被膜形成とその効果について溶液・鉱物分析,電気化学実験,浸出実験などを組み合わせて検討した。 熱力学計算と溶液分析(可視紫外吸収スペクトル測定)の結果、Fe3+,Fe2+,Al3+とカテコールの溶液中にはpHに応じて金属イオンとカテコールが1:1、1:2、1:3のモル比で結合した錯体が存在することが確認された。白金を作用極に用いたリニアスイープボルタンメトリーにより、これらの錯体の酸化分解特性を検討したところ、電極電位の上昇に伴って1:3型錯体は1:2型錯体に、1:2型錯体は1:1型錯体に逐次的に分解され、最終的に1:1型錯体の分解により金属イオンが放出されることが示された。これに対してTi4+とカテコールの組み合わせでは1:3型の錯体しか存在せず、その酸化分解反応は1段階であった。これらの錯体が最終的に金属イオンに分解される電位の順位は量子化学的な第1原理計算からの予測と一致した。金属イオン‐カテコール錯体の水溶液に白金電極あるいは黄鉄鉱電極を浸漬してアノード定電位電解を行い、電極表面をSEM-EDXやFTIRなどの手法で調べたところ、電極表面に金属酸化物あるいは水酸化物の薄膜が形成されることが確認された。黄鉄鉱粉末試料を用いた浸出実験の結果、黄鉄鉱酸化に伴って生成する硫酸イオンは、金属イオンーカテコール錯体を添加した場合には無添加の場合によりも少なくなった。これらの結果は金属イオン-カテコール錯体の溶液中で黄鉄鉱表面に生成する被膜が黄鉄鉱の酸化溶解反応の抑制に有効なことを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画どおり、平成29年度は単味金属イオンとカテコールの錯体を用いた系(単味CME)について検討し、各錯体の性質や黄鉄鉱表面への皮膜の生成、黄鉄鉱酸化に及ぼす及ぼす効果などを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、化学的な安定性が高く,磁性を持つマグネタイトFeO・Fe2O3やフェライトの皮膜を形成する方法を確立することを目指して、複数の金属イオン―カテコール錯体を含む溶液を用いたCME処理(複合CME処理)について、初年度と同様の手法(CME処理、電気化学測定、鉱物・溶液分析、浸出実験など)で検討する。
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Research Products
(7 results)