2017 Fiscal Year Annual Research Report
Restrain of the swelling of an oxide fuel by controlling the size of He gas bubble
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17H03524
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
芹澤 弘幸 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力基礎工学研究センター, 研究主幹 (90355008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊田 高之 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 物質科学研究センター, リーダー (00343939)
河裾 厚男 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 上席研究員(定常) (20354946)
矢板 毅 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 物質科学研究センター, 研究主席 (40370481)
小林 徹 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 物質科学研究センター, 任期付研究員 (40552302)
有馬 立身 九州大学, 工学研究院, 助教 (60264090)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヘリウム / ガスバブル / 負結晶 / スエリング / 二酸化セリウム / イメージクリスタル / 臨界核 / 単結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、(1)備品の購入・消耗品の購入、(2)二酸化セリウム単結晶作成試験、及び(3)低速陽電子ビームによるナノスケール領域にあるガスバブルの検出、並びに(4)計算科学的手法によるガスバブル成長のモデリングを実施した。 (1)備品として購入を予定していた、Xe型超高温炉、及びオスミウムコーターを実験室に設置した。両装置は既に稼働しており、平成30年度実施する試験用試料の準備を開始した。 (2)設置したXe型超高温炉を用いて、二酸化セリウムペレット(密度約96%)の加熱試験を実施した。その結果、5mmφx約1mmの単結晶と思われる試料を取得した。本試料を用いて、平成30年度、SPring8においてXAFS試験を実施し、Ceの価数を調べ、単結晶であることを確認する。該当試験を実施するための標準試料のXAFS試験は、SPring8で実施しており、二酸化セリウムの価数変化によるXAFS領域のチャート変化をとらえている。 (3)TIARAでHeイオン注入試験を実施した二酸化セリウム薄膜試料を用いて、低速陽電子ビームをプローブとして、ナノスケールのガスバブル発現状況を観測するための試験を実施した。しかしながら、現在のイオン注入量では、ガスバブル検出にいたらなかったため、平成30年度に再び試験を実施するために、京都大学のDuetを用いて、従来のイオン注入量の2倍と4倍のイオン注入試験を実施した。イオン注入後の試料を顕微鏡で観察したが、余剰Heの析出による薄膜のたわみは見られなかった。 (4)イメージクリスタル中のHe量を、一般的なマトリックスへの溶解度、及び研究代表者が以前論文で報告した0.04 cm3STP/gUO2を考慮して計算した。U-O-He系のMD計算ができる入力ファイルを作り、MD計算ができるように整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
設備備品として計上していた、Xe型超高温炉、及びオスミウムコーターは、平成29年度内に納品を完了しており、既に実験を開始している。 計算科学関連の研究についても、予定どおり、計算条件の最適化を実施しており、今後の進捗に問題はない。 陽電子消滅試験は、平成29年度に実施したものの、バブルを検出することができなかった。このため、京都大学のDuetを用いて、Heのイオン注入量を従来の2倍から4倍に増やし、更に、エネルギーデグレーターを使用することで、深さ方向にも均一にHeが入るよう工夫した試験を実施した。本試料を用いて、平成30年度に改めて陽電子消滅試験を実施する。 又、平成30年度実施する予定の「X線小角散乱によるガスバブルサイズ測定」で使用する、石英ガラス状に製膜した二酸化セリウム薄膜も平成29年度に購入し、平成30年6月には、Duetでイオン注入試験を実施することになっている。
以上を勘案するに、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、平成29年度使用した試料よりもイオン注入量が多い試料を用いた試験を実施する。試験項目は、以下のとおりである。 (1)平成29年度に実施した試験では、ガスバブル検出に至らなかった、低速陽電子ビームをプローブとしたナノスケールガスバブルの検出試験を再び実施する。使用する薄膜試料は、平成29年度、京都大学のDuetによりイオン注入した試料を用いる。イオン注入量をパラメータとした試験を実施する。 (2)Xe型超高温炉を用いた、バルク状二酸化セリウム単結晶生成条件を最適化し、より大きな単結晶作製に挑む。得られた試料は、SPring8によりXAFS試験を実施する。分析試験は、CEMES-CNRSのDr.Pierre Lecante にも送付し、フランスでも分析試験を実施して、情報を共有する。 (3)石英基板上に製膜した二酸化セリウム薄膜に、京都大学のDuetを用いてHeをイオン注入し、その後、加熱温度をパラメータとして、X線小角散乱によるガスバブルサイズの分布状況を確認する。又、熱処理した二酸化セリウム薄膜の断面をTEMで観察し、温度履歴をパラメータとした、ガスバブルのサイズ及び形状変化を調べる。本試験は、実験的に臨界角がどの程度になるのかを探る糸口となる。 (4)MD及び第1原理計算によるガスバブル成長過程のモデリングを進める。 海外の研究者とも連絡をとり、研究のグローバル化を目指す。
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Research Products
(1 results)