2018 Fiscal Year Annual Research Report
Anti-tumor approach based on the understanding of NFAT-EC activation system
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17H03580
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
南 敬 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 教授 (00345141)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 内皮ー間葉系形質転換 / NFAT / Erg / 血管内皮細胞 / FLI1 / がん微小環境 / マイクロアレイ / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
HUVEC に ERG, FLI1 単独及び共通のノックダウンからゲノムワイド解析を行った。ERG は内皮マーカーとしてもよく使われており、ノックダウンにより間葉系マーカーの発現亢進と内皮マーカー遺伝子の減少、内皮炎症関連遺伝子の発現上昇を引き起こす一方、FLI1 ノックダウンだけではCD31 や VE-cadherin などの幾つかの内皮マーカーの発現減少以外有意な遺伝子の変化は認められない結果を得た。興味深いことに ERG/FLI1 の共通のノックダウンでは、ERG 単独ノックダウンよりも顕著な EndMT を引き起こし、ほぼ全ての内皮マーカーの喪失とEMT, EndMT を引き起こす転写因子 SNAI2 の発現亢進、ERG ノックダウンでみられた内皮での炎症関連遺伝子とは異なる通常内皮では発現しない炎症関連遺伝子の発現増加が初期(ノックダウン3日目)にみられ、EndMT が完結する時期、ノックダウン7日目では多くの間葉系マーカーの発現亢進が認められた。発現クラスターにおいて、GO 解析を行ったところ、ERG/FLI1 siRNA により最も発現低下するものは血管形成、血管新生に関与する内皮マーカーで専有しており、逆に ERG/FLI1 siRNA により最も発現上昇するものでは創傷応答や感染防護、炎症などに関与する間葉系遺伝子が有意に濃縮される結果となった。また EndMT の兆候は細胞染色やFACS データでも確認された。更にERG, FLI1 抗体を用いた ChIP-seq を各々2回行い、ERG 濃縮領域 77,467 ピークとFLI1 濃縮領域 47,002 ピークを得た。これらのうち多く (45,767 ピーク) は overlap が認められ、転写開始点 (TSS) から1Mb 以内のtop 2000 ピークを基にゲノム上では遺伝子間イントロン領域、遠位遺伝子間領域、プロモーター領域の順に濃縮が認められた。また結合ピークを有する遺伝子をもとに GO 解析を進めると、ERG/FLI1 siRNA での発現アレイと同様に、血管形成・血管新生に関わる内皮発現遺伝子が有意に存在する結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
抗がん微小環境を探索するための新規ダウン症モデルマウス樹立の方針であるが、ES 細胞からの個体化に失敗している。また、これは2回ES 細胞にCRISPR/Cas9 系で薬剤選択を行うシステムで構築している。一回目の Puromycin での選択後先ずこのES 細胞が個体化能をもっていることを確認できたが、次のNeomysin での最適条件が見出せていない。
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Strategy for Future Research Activity |
熊大での B6-ES 細胞は特殊であり、Neomysin 選択などは、モデルマウス作製支援の援助を受けて、再度行う。個体化出来た後、マウスからトリソミーに至るまで更にステップがあるので、なるべく迅速に計画する。ただし、マウス維持がその費用や空調交換などでかなり難しくなっているので、実験できる個体数を減らし、マウス解析として許容されるぎりぎりのn数にて行う方策を考えていかなくてはならない。
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