2019 Fiscal Year Annual Research Report
栄養環境の変化に対する適応戦略と成長・代謝制御機構の解析
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17H03658
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
西村 隆史 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (90568099)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 環境応答 / シグナル伝達 / 内分泌ホルモン / 糖代謝 / インスリンシグナル / ショウジョウバエ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、栄養状態の変化に応じた成長と代謝調節の制御機構を理解することである。成長や代謝を制御する内分泌ホルモンの作用は、栄養状態により厳密に制御されている。モデル生物キイロショウジョウバエを用いて、生物個体に備わっている栄養環境の変化に対する恒常性維持機構と適応戦略の解明を目指した。 2019年度の研究実績として、体サイズの異なるショウジョウバエ近縁種を用いた比較解析から、個体成長に伴う性成熟のタイミングと成体の大きさには密接な関係があることを明らかにした(廣中ら、iScience, 2019)。また、栄養状態の変化に応じて血糖値の適切に調節する代謝システムが、器官サイズのばらつきを抑制し、発育恒常性に寄与することを明らかにした(松下ら、Commun Biol, 2020)。 栄養環境の変化に対する適応戦略を理解する目的で、数理モデルを用いた解析を行った。その結果、成熟期への進行に伴い、貯蔵資源の消費から保持に切り替える代謝リモデリングが最適な飢餓応答であることが明らかになった。実際に、網羅的なメタボローム解析や組織学的解析から、成熟期への進行に伴い、貯蔵糖のグリコーゲンやトレハロース、貯蔵脂肪の消費が組織特異的に抑制されることを見いだした。さらに、内分泌ホルモンの作用で血糖トレハロースの分解抑制が起こる分子機構を明らかにした(山田ら、投稿中)。 これら一連の研究を通して、発育成長過程における時期特異的な代謝恒常性維持の仕組みと、栄養環境の変化に対する生物の適応戦略とその生理的意義の一端を解明した。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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