2017 Fiscal Year Annual Research Report
四肢再生全般を支配する神経因子の解明と再生不能(不全)動物への応用
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17H03685
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐藤 伸 岡山大学, 異分野融合先端研究コア, 研究教授 (90512004)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 器官再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
両生類の四肢再生では神経が不可欠な役割を果たすことが明らかであったが、確実な分子実体が明かされることはなかった。四肢再生において神経は「再生の開始」と「パターンの再形成」を制御している。我々は、当該分野の長年の悲願であった「再生の開始」を支配する神経因子(FGF+BMP)の同定に成功した。しかし尚、「パターンの再形成」を制御する神経因子はいまだ謎である。本研究内では、これまでに明らかにした成果を基に、パターンの再形成を支配する神経因子の同定を試みる。さらに、同定する因子を操作することで、再生不全動物(アフリカツメガエル)および再生不能動物(ニワトリ胚)において四肢再生の誘導と完遂に挑むことを目的にしている。本実験期間では後根神経節における神経因子の阻害実験とアフリカツメガエルにおける再生誘導実験を行った。後根神経節における遺伝子機能阻害は長鎖の二本鎖RNAの導入によって行った。この方法はプラナリアで確立された方法であり、兵庫県立大学の協力によって手法を確立した。後根神経節による当該遺伝子の阻害は再生能力を損なわせるものであることから、同定済み遺伝子が神経因子である事の確実な証拠として考えられる。アフリカツメガエルの実験においては神経因子として確立した遺伝子のエレクトロポレーションによる導入を行った。期待したほどに効果は出なかったが幾分かの再生構造の改善は観察された。両者ともに本報告書を書くまでに論文として報告しており、順調な進捗を示す。副産物として外鰓の再生の解析を進めており、こちらも同定した再生誘導物質が効果を発揮することが明らかになってきた。加えて歯の再生も同様のメカニズムで駆動されることも明らかになりつつあり、同定した再生誘導物質の普遍性がより強固に支持されるだけではなく、同定済みの物質の学術的に確実性も担保されると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験動物の調達に若干の問題はあったが研究遂行自体は円滑に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
アフリカツメガエルにおける神経物質の効用を引き続き探求する。更なる完全な再生体の誘導に向けて同定した遺伝子がありそちらの効果を確認する。また、非再生動物への効果検証として、別件で進める研究の成果を踏まえつつマウス等に還流していく作業を具体的に進める。来年度のみ込まれる成果としては外鰓の再生を論文として報告したい。また、歯の再生に関しても論文化を考えている。マウスなどにおける再生体誘導は引き続きチャレンジする。
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Research Products
(5 results)