2018 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of molecular mechanism for switching from vegetative growth to sexual growth in mushroom forming fungi
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17H03798
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Research Institution | Iwate Biotechnology Research Center |
Principal Investigator |
坂本 裕一 公益財団法人岩手生物工学研究センター, 生物資源研究部, 主任研究員 (80390889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 一夫 久留米大学, 付置研究所, 准教授 (60449238)
刑部 敬史 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 教授 (70450335)
山田 秀俊 公益財団法人岩手生物工学研究センター, 生物資源研究部, 主任研究員 (70511955)
中沢 威人 京都大学, 農学研究科, 助教 (80608141)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 光受容体 / 子実体発生誘導 / 脂質 / ウシグソヒトヨタケ |
Outline of Annual Research Achievements |
光照射後1時間で発現する遺伝子の中に子実体発生に必須な遺伝子であるcfs1があったことから、RNA-seqにより光照射後1時間で急激に発現する遺伝子の解析を行った。その結果光照射後1時間で発現する転写因子や、cfs1と同様脂質合成に関わる遺伝子の発現を確認できた。そこでそれらの遺伝子をゲノム編集で破壊したところ、脂質合成に関わる遺伝子の破壊株で子実体発生が抑制される株を得ることができた。一方転写因子と考えられる遺伝子の破壊株からは子実体発生が抑制される株は得られなかった。以上のことから、脂質合成は子実体発生誘導に大きな役割を果たしていることが明らかになった。そこで、網羅的な脂質解析を行い、子実体発生直前に増加している脂質の特定を行なった。 fccm2等光照射後18時間程度で発現量が増加する遺伝子を破壊したところ、knot形成ではなく子実体の成熟等に影響が出たことから、knot形成に必須な遺伝子の発現はそれより前に起きると考え、光照射後6時間で発現上昇する遺伝子についてRNA-seq解析を行った。その結果、ハイドロホビン等の形態形成に関わると考えられる遺伝子の発現が上昇していることが明らかになった。 昨年度光照射後1時間で発現上昇するfas1遺伝子プロモーターにルシフェラーゼ(luc)を繋ぎ、光照射することによりluc発光が観察される系を確立した。そこでその株からUV照射により光照射してもluc発光が強く誘導されない株を獲得することができた。それらの株は光照射によるfas1発現に関わる遺伝子に変異が生じた可能性があることから、今後遺伝解析を進める
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書において予定していたゲノム編集による表現型の解析、およびRNA-seqによる遺伝子発現解析は予定以上に順調に進捗している。また、申請当初は子実体形態形成の誘導と子実体発生誘導に関わる青色光受容体は別個のものと想定していたが、子実体発生を誘導する光受容体が子実体の形態形成(傘形成など)を誘導する光受容体と同じであるという想定外の発見があった。よって、現在光受容体破壊株の光照射後の遺伝子発現についてもRNA-seqにより解析を進めている。以上により、申請時に想定していたよりも研究が進捗していると考えられる。また、光照射に最も強く反応するfas1遺伝子にルシフェラーゼをつないた遺伝子を導入したfas1-lucの解析から、光受容体によるシグナル伝達経路についても詳細が明らかになるのではないかと考えられる。さらに、プロトプラストに光を照射することでfas1の発現が確認できたことから、光により誘導されるシグナル伝達について分子レベルの詳細な解析が行えるのではないかと考えられる。 H30年度に脂質関連遺伝子のゲノム編集による破壊により、脂質合成が子実体発生誘導に大きな役割を果たしていることが明らかになりつつある。また、脂質解析から子実体発生時に増加する脂質についても解析が進められたことから、最終年度には脂質と子実体発生との関係についてより詳細なデータが得られることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
子実体発生誘導に関わる光受容体については、十分なデータを得ることができたと考えられることから、最終年度は光受容体が発生誘導を可能にする仕組みの解明及びグルコース濃度に依存した子実体発生制御機構について解明を目指す。 光受容体により制御されている遺伝子の発現制御メカニズムを解明するために、fas1遺伝子プロモーターにルシフェラーゼ(luc)を結合して形質転換したウシグソヒトヨタケ菌株にUV照射し、lucの光誘導が欠損した菌株の変異の原因遺伝子の特定を進める。また、光照射以降子実体発生誘導に関わる脂質を特定する目的で、光照射以降特異的に増加する脂質を特定する。 また、プロトプラストでも光照射によりfas1が発現することが認められたので、プロトプラストに光照射を行いfas1-luc株及びfas1-GFP株の発光とカルシウムイオンなどの挙動を観察することで、光によるシグナル伝達経路を明らかにする。グルコース濃度に依存した子実体発生制御機構を解明するため、子実体発生が抑制される1%グルコース培地及び子実体発生誘導が起こる0.2%グルコース培地でで特異的に発現している遺伝子を特定する。特定された遺伝子については、網羅的なゲノム編集を行い、子実体発生誘導に影響が出る遺伝子を特定する。0.2%グルコース培地でのみ発現が上昇する遺伝子のプロモーターにlucを結合してウシグソヒトヨタケに導入した菌株を作出し、fas-lucと同様に、光照射後発現誘導が抑制されるような変異株の取得を進める。
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Research Products
(3 results)