2017 Fiscal Year Annual Research Report
Identification and characterization of phytochemical-targeted genes using a genome wide yeast screening system
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17H03818
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中村 宜督 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (60324381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守屋 央朗 岡山大学, 異分野融合先端研究コア, 准教授 (60500808)
佐藤 あやの 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (40303002)
中村 俊之 岡山大学, 環境生命科学研究科, 助教 (90706988)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 食品 / 出芽酵母 / 分子生物学 / 遺伝子 / 生化学 / イソチオシアネート / 求電子性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、機能性食品成分が遺伝子発現ネットワークに及ぼす影響の統合的理解を目標として、出芽酵母の遺伝子綱引き法(gTOW法)を用いた新たな評価モデル系を構築し、出芽酵母の全遺伝子を過剰発現させた酵母に対する機能性食品成分の影響を明らかにする。本年度の成果を以下に示す 1) 出芽酵母の全遺伝子を網羅した過剰発現株の作成に成功した。続いて、benzyl isothiocyanate(BITC)の細胞増殖阻害作用に抵抗性を賦与する遺伝子として、15遺伝子を同定した。各遺伝子を過剰発現する形質転換体をそれぞれ新たに作成して、BITC耐性をスポットアッセイにより確認した結果、15のうち12株がコントロールと比較して有意に高い細胞生存率を示した。 2) ヒト大腸がん細胞株(HCT-116)を用いて、同定したBITC耐性遺伝子のヒトホモログのレトロ・レンチウィルスを介した過剰発現安定細胞株を樹立した。 3) 細胞生存・増殖に重要なtarget of rapamycin(TOR)経路がITC耐性機構に寄与することが示唆されたため、ほ乳類でmTOR活性の調節に関与するphosphatidylinositol 3-kinase(PI3K)及びAktのリン酸化へのBITCの効果を検討した。その結果、BITCはそれぞれのリン酸化を増強した。PI3K阻害剤はBITCの細胞増殖抑制作用、アポトーシス誘導作用を増強するだけでなく、オートファジー関連分子の活性化やp62依存的なNrf2活性化を抑制した。PI3K阻害剤はBITCが誘導する薬剤耐性機構を阻害することで、BITCの抗がん作用を増強することが示唆された。 4) BITCの新たな機能としてアルコールの解毒に関わるaldehyde dehydrogenaseの誘導作用を、求電子性食品成分である緑茶カテキンやフラボノイド代謝物の新規生理活性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の交付申請書に記載した計画のうち、1)出芽酵母の全遺伝子を網羅した過剰発現株の作成、2)15のBITC耐性遺伝子候補の同定、3)同定したBITC耐性遺伝子のヒトホモログのレトロ・レンチウィルスを介した過剰発現安定細胞株の樹立、4)求電子性食品成分の新規生理活性の発見などの成果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は次の二点を中心に進める。 1)前年度に終えたスクリーニングにより同定された全ての遺伝子について、酵母における耐性機能を証明し、妥当性の証明を完了する。動原体構成因子MTW1ヒトホモログ(Mis12)のBITCによる遺伝子発現調節機構を解析し、細胞内局在の変化(GFP-tagged vector導入)をライブイメージング観察する。さらにイメージサイトメーターを用いた細胞周期解析を行い、BITCによる細胞周期調節・アポトーシス誘導へのMis12の寄与を証明にする。 2)ヒトにおいても耐性を付与する遺伝子が食品成分の直接的な標的になりうるか検証する。抗食品成分修飾タンパク質抗体を用いた免疫化学的解析などで検討するが、培養細胞を用いた解析が困難な場合は大腸菌などの発現システムを用いて組換えタンパク質を調製し、セルフリーの条件下で付加可能なアミノ酸残基を同定する。
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