2018 Fiscal Year Annual Research Report
The build-up study on the functionality of medicinal mushroom Ganoderma lingzhi based on Japanese genomic editing technology
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17H03845
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
清水 邦義 九州大学, 農学研究院, 准教授 (20346836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 崇裕 九州大学, 農学研究院, 准教授 (10464398)
大貫 宏一郎 近畿大学, 産業理工学部, 准教授 (50378668)
松本 雅記 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (60380531)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 霊芝 / トリテルペノイド / ゲノム編集 / プロトプラスト / メタボロミクス分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年に引き続き、霊芝の細胞融合・ゲノム編集を効率的に行うための扱い易いプロトプラスト作成に向けての検討を行った。これまでの研究で、形質転換に用いるプロトプラストの性状が形質転換効率に影響することが示唆されたため、本年度は作出したプロトプラストをセルソーターにより分画した。その結果、異なるサイズのプロトプラストを得ることに成功した。また、我々はこれまでに、トリテルペノイド以外の霊芝二次代謝産物であるβ-グルカン合成に関わる遺伝子の探索を行った。このβ-グルカン合成遺伝子をPPRモチーフによるゲノム編集技術を用いてノックアウトすることでトリテルペノイド産生が増加する可能性が考えられる。 霊芝(Ganoderma lingzhi)に含まれるトリテルペノイドおよび多糖は、その薬効成分に寄与する主要な生理活性成分である。本研究では、G. lingzhiに含まれるトリテルペノイドの網羅的な分析条件の検討を行った。2017年度は標準品を用いた定量方法を確立し、生育ステージ毎の18種類のトリテルペノイド類を定量した。本年度は質量分析に基づく生育段階におけるG. lingzhiのノンターゲットメタボロミクス分析の方法を検討した。検出された42のピークのうち、26のピークを同定した。そのうち9のピークは標準品より同定し、17のピークは本研究により得られたマススペクトルの開裂と既報の結果から化学構造を推定した。各ピークのピーク面積を比較し、半定量が可能な分析方法を確立した。本結果は今後ゲノム編集によってトリテルペノイド生産能力の高い霊芝を作出した後に、ゲノム編集されていない霊芝と比較してどのような種類のトリテルペノイドが増加しているかを確認するために有効な手段となる。。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで霊芝のプロトプラスト作出を行ってきたがその作出効率は低く、また、作出したプロトプラストを用いて形質転換を行っても、その形質転換効率も低かった。そこで、プロトプラストの性状が形質転換効率に関係している事が示唆されたため、セルソーターを用いてプロトプラストをサイズによって分画することに成功した。 さらにゲノム編集のターゲットとなるβ-グルカン合成遺伝子の探索を終了している。また、PPRもチーフによるゲノム編集を進めるとともに、トリテルペノイド生合成に重要であると考えられる遺伝子を高発現ベクターに組込むための、ターゲット遺伝子の探索も同時に行っている。 一方、霊芝トリテルペノイドの網羅的解析方法については、質量分析に基づく生育段階におけるG. lingzhiのノンターゲットメタボロミクス分析の方法を検討した。検出された42のピークのうち、9のピークは標準品より同定し、17のピークは本研究により得られたマススペクトルの開裂と既報の結果から化学構造を推定することができた。さらに各ピークのピーク面積を比較することで、半定量が可能な分析方法を確立することに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
霊芝には霊芝トリテルペノイド以外の二次代謝産物としてβ-グルカンがある。そこで霊芝ゲノムに存在するβ-グルカン生合成遺伝子をPPRもチーフを用いたゲノム編集技術を用いてノックアウトすることにより、霊芝の二次代謝産物生合成能力が霊芝トリテルペノイドへ集中し、生産量が向上するかを検討する。また、Wuら(2018)によって、トリテルペノイドの生産に重要であると思われる6つの遺伝子が報告されている。これらの遺伝子を高発現ベクターに組込み霊芝を形質転換させることで、トリテルペノイドを大量に産生する霊芝の作出を目指す。 生体内において機能性成分の標的タンパク質はその他のタンパク質との関係性によって機能性を発揮する。そこで、まず得られた霊芝トリテルペノイドの標的タンパク質を同定し、プロテオームに関するバイオインフォマティクス技術を援用し本標的タンパク質と関連する薬効・機能性・疾患に関する情報を取得し、期待される霊芝の新規機能を探索する。 さらに上記の知見により機能性が推定できるので、その知見に基づいて、本研究で得られる霊芝トリテルペノイド高生産株とゲノム編集を行っていない親株由来エキスを用いて、細胞・動物試験により、機能性を比較する。
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Research Products
(3 results)