2018 Fiscal Year Annual Research Report
ルーラルフリンジに立地する農村の類型化とシュリンク・メカニズムの解明
Project/Area Number |
17H03890
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
武山 絵美 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (90363259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 正裕 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80436675)
服部 俊宏 明治大学, 農学部, 専任准教授 (10276165)
内川 義行 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (20324238)
田村 孝浩 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (20341729)
九鬼 康彰 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (60303872)
山下 良平 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (40515871)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | フリンジ / 土地利用 / シュリンク / 耕作放棄 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の課題は「ルーラルフリンジに立地する農業集落の類型化」であった.武山は,愛媛県に立地する全2,950集落の属性データを分析し,土地利用および産業構造に着目した類型化手法を検討した. 内川は,長野県根羽村の試験地等で,粗放的林地・耕作放棄地での山地酪農の導入を検討した結果,用地確保および新規就農者導入の現況,および当該自治体全体における土地利用計画の必要性を示した.山下は,コミュニティの担い手の多様化,地域外部者との連携による既存の地域組織の刷新に対する地元側の認識等について事例的に分析した結果,地域の継承に対してネガティブに作用する要因およびその解消や緩和に関する方策を示した.九鬼は,大阪府茨木市の遊休農地対策を調査し,都市住民参加の農作業教室によって興味を持つ市民を取り込み,期間が終われば府の独自制度である準農家への移行を勧め,遊休農地の担い手としての独立を支援していることを明らかにし,フリンジでの遊休農地活用手法としての可能性を検討した.田村は,栃木県内における5つの改良区を対象として地区除外の手続きに関する実態把握を行った結果,約10年間に受益面積の0.5~7%に相当する農地が地区除外されている実態を明らかにした.中島は,群馬県みなかみ町「たくみの里」を対象に,3要素に係る諸課題の関係を構造的に整理し,ワークショップにより課題構造の精度,および意識醸成の効果の観点から検証した.服部は,陸前高田市広田地区を対象に,地区内農地の変遷について1977年と2013年の比較解析を行った結果,農地としての残存率は82~14%と非常に幅があること,農地からの変化はほとんど林地化であることを明らかにした.また,Vietnamの土地利用制度とハノイ市のマスタープラン,ハノイ市近郊の土地利用現況をまとめた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究チーム全体では,当初の研究計画を上回るスピードで事例研究が進展し,極めて良好な研究成果を挙げている.また,これらの事例研究をとりまとめ,類型化指標として確立する作業も進展が見られる一方,平成30年7月豪雨等の災害対応のため,研究代表者における本研究課題への取り組みが一時的に中断を余儀なくされたため,類型化指標の精査を社会実装可能なレベルに引き上げる作業が十分に行えていない点に不満が残る.しかし,平成31年度にこれに取り組む目処は付けられたため,研究計画は概ね順調に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
武山は,愛媛県内の農業集落を対象に,研究分担者から提示された類型化指標を用いて,ルーラルフリンジに立地する農業集落の類型化手法を確立させる.また,研究分担者は,ルーラルフリンジのシュリンクをコントロールする方策を事例研究より明らかにする.具体的には,内川は,根羽村にて,特に新規就農就農者が実際の放牧を開始したことによる集落土地利用および住民心理への影響等について明らかにする.山下は,ルーラルフリンジエリアにおける民間投資による地域経済活性化の可能性について,SDGsの観点から分析する.九鬼は,大阪府の準農家制度の実態解明を通じて,遊休農地の担い手像の変化と制度によるフリンジでの農地保全の可能性を検討する.田村は,栃木県の土地改良区を対象に,受益地区内に市街化区域を擁する改良区における地区除外面積の発生傾向と手続きに関する課題,および改良区ごとに異なる他目的使用の運用実態を比較検討するとともに,その原因ならびに今後の運用可能性について検討を行う.中島は,ワークショップにおける主体間連携のあり方,およびシュリンク問題が発生しているエリアを対象とした具体的な農地保全計画の提案を行なう.服部は,陸前高田市広田地区において,震災後の復旧過程を中心として類型化指標になり得る地域構造の把握を試みるとともに,ハノイ市近郊の土地利用変換に関する農家調査結果のまとめをおこなう.
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Research Products
(15 results)