2017 Fiscal Year Annual Research Report
Thermo-regulation of hibernation in Japanese black bears - shivering or non-shivering? -
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17H03936
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坪田 敏男 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (10207441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 充功 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 准教授 (20632467)
佐鹿 万里子 北海道大学, 獣医学研究院, 助教 (30722954)
下鶴 倫人 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (50507168)
MOHAMED MOUSTAFA 北海道大学, 獣医学研究院, 特任助教 (80794023)
岡松 優子 北海道大学, 獣医学研究院, 講師 (90527178)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | クマ / 冬眠 / 体温調節 / 褐色脂肪 / ベージュ脂肪 / 非ふるえ産熱 / ふるえ産熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は初年度ということで、研究計画に基づいて関係機関ならびに共同研究者との打ち合わせを行った上で、6月より研究を開始した。まず2017年6~11月に、北秋田氏阿仁クマ牧場の飼育下オス・ツキノワグマ7頭に体温、心拍数および活動量モニタリング用デバイス(DST centi-HRT ACT,STARODDI)を外科手術的に胸部皮下に埋め込んだ。その後、冬眠中およびその前後の期間の体温、心拍数および活動量のモニタリングを継続中である。2018年5月にすべてのデバイスを取り出して、データをPCに取り込み解析する予定である。また、オス・ツキノワグマ4頭について、6月(活動期)、11月上旬(過食期)および1月(冬眠期)に麻酔下(塩酸チレタミン・塩酸ゾラゼパムの混合薬および塩酸メデトミジンとの併用)で血液および脂肪組織を採取した。血液は血清または血漿を分離して凍結保存した。脂肪組織については、主に非ふるえ産熱に関わる分子(UCP1タンパクおよびmRNA)発現を解析した。さらに、ふるえ産熱に関わる機序解明の一環として、筋サンプルの採取を行い、現在解析中である。本研究に関連した内容をまとめ、国際クマ会議(2017年11月13~17日、Quito, Ecuador)にて「Changes in body temperature and heart rate during hibernation in captive male and female Japanese black bears (Ursus thibetanus japonicus)(飼育下オスおよびメスツキノワグマにおける冬眠中の体温および心拍数の変化)」と題するポスター発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、飼育下オスツキノワグマ7頭に体温、心拍数および活動量をモニタリングするためのデータロガー・デバイスを皮下に埋め込むことができた。また、活動期(6月)、過食期(11月上旬)および冬眠期(1月)に血液および脂肪組織を採取することができ、非ふるえ産熱に関わる分子生物学的解析を実施中である。さらに、冬眠覚醒期(3月)に野生ヒグマの解剖を実施することができ、脂肪組織の分布の把握およびサンプル採取することができたので、来年度の研究につなげることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、引き続き、冬眠中の体温調節機構解明の一環として非ふるえ産熱の分子機序を探究することに重点を置くが、それと並行してふるえ産熱の可能性についての研究に着手する予定である。そのために、飼育下ツキノワグマより活動期(5月)、過食期(11月上旬)および冬眠期(3月)に血液および脂肪組織を採取して、解析を進める。とくに、2017年3月に野生ヒグマより採取した頸部および肩部の脂肪組織(やや赤みを帯びた脂肪組織)に着目して、その部位を中心に採取および解析を試みる。ふるえ産熱の方は、冬眠期にサーモグラフィー・カメラを設置して、数日間間でみられる体温の上昇(産熱)とふるえ行動との関係を映像として記録し、後ほど分析する。2018-2019年の冬眠期に野生ヒグマおよびツキノワグマの捕殺現場に立ち会い、解剖ならびに脂肪組織(とくに褐色・ベージュ脂肪組織)の採取を試みる。
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