2017 Fiscal Year Annual Research Report
不完全変態昆虫モデルシステムを用いた後胚期形態形成の制御機構解明
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17H03945
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
三戸 太郎 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 准教授 (80322254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友成 さゆり 徳島大学, 技術支援部常三島技術部門, 技術支援職員 (40448345)
石丸 善康 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 助教 (50435525)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / 形態形成 / 昆虫発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度確立したゲノム編集技術を利用したエンハンサートラップシステムを用いて、コオロギの形態形成に関わる遺伝子の発現解析を進めた。翅形成などへの関与が予想される遺伝子の一部について、GFP遺伝子導入による発現レポーター系統の作出に成功した。現在、胚発生と幼虫期を通じての発現パターンの解析を進めている。scalloped遺伝子のレポーター系統の解析により、幼虫付属肢などでの本遺伝子発現パターンが明らかになり、さらに翅形成の時期に着目したイメージング解析を試みている。 一方、体節形成に関わる遺伝子のノックアウトによる機能解析を継続した。even-skipped遺伝子についての弱い表現型も含めた詳細な解析により、体節領域ごとに遺伝子機能低下への感受性の違いがあり特に胸部体節で感受性が高いことが明らかになった。本遺伝子産物の濃度依存的な機能が示唆される。本遺伝子については、CAGE解析による胚発生の時期ごとの複数の転写開始点や複雑なスプライシングのパターンなど、遺伝子発現に関わる重要な情報を得ており、これらを統合して体節形成への関与をさらに詳細に解析していく予定である。 さらに、シグナル経路の活性などのイメージング解析に向けて、標的遺伝子産物の蛍光タンパク質融合型を発現させるべくマイクロホモロジー依存的なノックイン技術の導入を進めた。その結果、標的部位への正確なノックインが高い効率で生じることが示された。本技術によるGFP融合遺伝子産物の発現動態の解析を試みている。また、DPP経路やWnt経路などの可視化に向けて、標的遺伝子ごとのノックインベクターのデザインを進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゲノム編集技術によるエンハンサートラップシステムを利用した形態形成関連遺伝子のレポーター系統の作出と発現解析が順調に進んでいる。マイクロホモロジー依存的なノックイン技術の導入に成功し、今後の展開が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
ホモロジー非依存的、およびマイクロホモロジー依存的なノックイン技術を駆使した形態形成関連遺伝子の発現と機能の解析を進める。これらの技術の応用により、翅などの器官の形成に関わる細胞系譜や、主要なシグナル経路の活性部位の動態解明などを目指す。また、コンディショナルなシステムの構築によるさらに高度な遺伝子機能解析実験を目指す。
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Research Products
(6 results)