2018 Fiscal Year Annual Research Report
無機リン酸(リン)応答複合体機能の解明とリン過剰克服に向けた新戦略
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17H04190
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
宮本 賢一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (70174208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 一郎 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (40389515)
永森 收志 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (90467572)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | リン / 慢性腎臓病 / FGF23 / 骨細胞 / トランスポーター / 遺伝子欠損マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病(CKD)の進行や透析患者の生命予後においてリンコントロールは非常に重要な役割を演じている。リン代謝異常は早期CKD から生じており、リンバランスの維持は生命予後を規定する重要な調節系であると考えられる。近年、リン酸(以下リン)代謝調節系(リンシグナルネットワーク:P net)を支配する線維芽細胞様増殖因子 FGF23 /klotho 系など明らかにされ、骨と腎臓を結ぶリン調節系など、様々なリン代謝における臓器相関の重要性が明らかにされた。我々は、これまでの研究によりリンシグナルネットワーク (P net)調節に共通に関わるリン応答複合体 (Psome)の存在とリン代謝異常発症への関与を見出した。平成30年は、平成29年度に得られた研究成果を踏まえ、腎臓におけるリン感受機構に関わる分子群(リン応答複合体 , TMD2)および骨細胞FGF23誘導因子とその表現型に関して、さらなる実験を実施した。DMP1-hHB-EGF :トランスジェニックマウスを解析し、骨細胞から分泌されている因子の役割を明らかにした。また、腸管や腎臓における、リン吸収を中心にミネラル代謝を分析し、カルシウム吸収能および胆汁酸代謝における異常を明らかにした。平成30年度も、Psomeの中心である TMD2(#213)遺伝子欠損マウスの表現型解析を実施した。本マウスの表現型において、 血中 FGF23濃度の異常を明らかにして、その原因に関して腎近位尿細管上皮細胞におけるシグナル伝達異常を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成 30年度の計画に従い、主に、骨細胞欠損マウスの表現型解析、および FGF23 誘導因子に関して実験を実施した。骨細胞欠損マウスの表現型では、各種ミネラル代謝の解析から、腸管におけるカルシウム吸収の抑制、及びリン吸収の亢進が観察された。また、腸管における遺伝子発現の解析より、胆汁酸代謝の異常が確認された。さらに、血中 FGF23濃度は、骨細胞欠損により、顕著に抑制されていたが、欠損後、緩やかな回復が観察された。本動物では、 Namptなどの NAD代謝に関する異常も確認された。骨細胞の欠損は、血中 PTH濃度の変化が観察されたが、血中活性型ビタミンD濃度には、影響が確認されなかった。また、腸管における FGF15や胆汁酸輸送に関与する各種分子の亢進が観察された。カルシウムやリンの同位元素を用いた、体内ミネラル代謝解析では、先の出納実験と同じように、カルシウム吸収の抑制と、リン吸収亢進が観察された。腸管におけるカルシウム吸収抑制の原因として、活性型ビタミンD の代謝を解析したが、その作用には変化は観察されなかった。よって、腸管カルシウム吸収を抑制する新たな因子の存在が予想された。 一方、骨細胞欠損により、腎臓 Klotho蛋白の顕著な抑制が観察された。また腎近位尿細管におけるリン再吸収に関与する NaPi-IIa, NaPi-IIcの低下も確認された。さらに、腎臓における線維化が見られ、それらの原因としてリン排泄の亢進が考えられた。これらの異常の原因として、 FGF23分泌を制御する因子の関与が予想され、その候補として Namptなどの NAD代謝調節因子の関与が示唆された。以上のように平成30年度の研究計画に基づき、各項目に関してほぼ進行しており、平成31年度の計画が実施できると考える。よって、平成30年度の計画は、おおむね達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度の計画としては、平成30年度までに得られた成果を発展させ、Psomeを中心としての TMD2の役割、および腎/骨細胞から分泌されるFGF23誘導因子 (IFGF)のさらなる解明を目指す。
1)TMD2欠損マウスにおけるリン代謝異常の解析, 平成31年度は、Psomeの中心である TMD2(#213)遺伝子欠損マウス作製の解析を行う。本マウスの外見上での、骨格異常は観察されていないが、様々な、リン代謝異常が予想される。平成30年度に得られた結果より、本マウスの異常は FGF23の異常な高値を呈しており、その原因を明らかにする。また各種骨解析技術を用いて、本マウスのミネラル代謝異常を明らかにする。また、TMD2と相互作用するタンパクを同定する。 2)IFGF候補分子 Nampt遺伝子の解析, 平成30年には骨細胞欠損マウスの遺伝子解析から、骨細胞や腎臓で発現が顕著に上昇する分泌型 Namptに関して、リン代謝の異常などが、明らかにされた。平成31年度も、同様に、 FGF23やミネラル代謝異常に焦点を絞り、その原因を明らかにすることで IGFI候補分子の情報に利用する。 3)骨細胞特異的欠損マウスからのアプローチ, 平成31年度は、平成30年度の結果をさらに詳細に解析する。Tatsumiらが樹立した、ジフテリア毒素 (DT) 投与により任意の時期に骨細胞を特異的に死滅させることができるトランスジェニックマウス (DMP1-hHB-EGF Tg: 以下Tgマウス) の系統を使用し骨細胞死滅マウスの解析を行う。本マウスの解析により、骨細胞から分泌されている因子の機能欠損が可能となる。平成31年度においても、本マウスの腎臓障害の原因を明らかにすると同時に、IFGFによるFGF23分泌が、骨細胞由来であるか否か、さらなる検討を行う。
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Research Products
(31 results)
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[Journal Article] Analysis of opossum kidney NaPi-IIc sodium-dependent phosphate transporter to understand Pi handling in human kidney.2019
Author(s)
Fujii T, Shiozaki Y, Segawa H, Nishiguchi S, Hanazaki A, Noguchi M, Kirino R, Sasaki S, Tanifuji K, Koike M, Yokoyama M, Arima Y, Kaneko I, Tatsumi S, Ito M, Miyamoto KI.
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Journal Title
Clin Exp Nephrol.
Volume: 23(3)
Pages: 313-324
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Eldecalcitol Causes FGF23 Resistance for Pi Reabsorption and Improves Rachitic Bone Phenotypes in the Male Hyp Mouse.2018
Author(s)
Kaneko I, Segawa H, Ikuta K, Hanazaki A, Fujii T, Tatsumi S, Kido S, Hasegawa T, Amizuka N, Saito H, Miyamoto KI.
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Journal Title
Endocrinology.
Volume: 159(7)
Pages: 2741-2758
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A Role of Intestinal Alkaline Phosphatase 3 (Akp3) in Inorganic Phosphate Homeostasis. Kidney Blood Press Res.2018
Author(s)
Sasaki S, Segawa H, Hanazaki A, Kirino R, Fujii T, Ikuta K, Noguchi M, Sasaki S, Koike M, Tanifuji K, Shiozaki Y, Kaneko I, Tatsumi S, Shimohata T, Kawai Y, Narisawa S,Millan JL , Miyamoto KI.
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Journal Title
Kidney Blood Press Res.
Volume: 43(5)
Pages: 1409-1424
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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