2019 Fiscal Year Annual Research Report
出生直後からの先制医療を目指した、羊水幹細胞による難治性早産合併症の治療法開発
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17H04236
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田中 守 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (20207145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 大吾 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80348713)
升田 博隆 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (80317198)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 早産 / 脳性麻痺 / 再生医療 / 間葉系幹細胞 / 幹細胞治療 / ヒト羊水幹細胞 / ニューロスフェア |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は第一に、早産脳障害のモデルとしてリポポリサッカライド(LPS)誘発性新生仔敗血症モデルラットに対するヒト羊水幹細胞(human amniotic fluid stem cell: hAFSC)の治療効果について、またその機序についてマクロファージを中心とした免疫学的な観点から検討を行った。結果として、血液中のIL-6などの炎症性サイトカインの低下、各臓器(脳、肺、肝臓)における炎症所見の抑制を認めた。さらに、その機序として、新生児で免疫を主に担うマクロファージが重要な役割を果たすことを解明した。腹腔内におけるマクロファージの分極化による免疫調整の結果、腹腔内の炎症が局所的に抑制された。引き続いて全身炎症が抑制され、生存率が改善する可能性が示唆された。さらに、免疫の首座である脾臓におけるDNAマイクロアレイの解析結果から、DNAレベルでの抗炎症性変化も示唆された。第二に長期予後の検討として、治療群、非治療群の間で、脳傷害の表現系の差異について検討した。海馬において炎症に続発したグリア瘢痕の形成を抑制したことを確認し、早産児の高次脳機能障害を改善する可能性が示された。一方で、運動能や認知能の改善の証明には至らなかった。上記結果について、現在論文投稿中である。 本年度までの研究成果として、周産期脳障害の主要因である、低酸素性虚血性脳症と早産脳障害を模倣した2つの動物モデルにおけるhAFSCの治療効果を世界に先駆けて明らかにした。我々は臨床的に、「脳性麻痺の発症リスクが高い妊婦を選別し、羊水を採取し、分娩までにhAFSCを分離・培養・調整しておき、出生直後の新生児に自己羊水由来のhAFSC移植治療を行う」といった先制医療計画を考えている。これまでの動物実験結果は、臨床応用に向けたより一層の前進と考えられる。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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