2017 Fiscal Year Annual Research Report
検査および治療法の開発に向けた精子形成分子基盤の解明
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17H04331
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
佐藤 陽一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学系), 准教授 (10363160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 晃明 国際医療福祉大学, 山王病院, 教授 (60046117)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 男性不妊症 / アンドロロジー / ゲノム / 遺伝子改変動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
精子形成機構を分子レベルで解明することを目的とし、以下の研究を行った。 1.非閉塞性無精子症原因遺伝子の同定:非閉塞性無精子症と診断された患者とその両親を対象として、エクソームシーケンスを行い、患者のみにみられる新規変異の探索を行った。患者のみにみられる新規変異から、さらにアレル頻度が低くタンパク質の機能に影響を及ぼす変異を絞り込んだ結果、1個の遺伝子変異が抽出された。この変異は未だ報告されていない新規の変異であった。次にこの遺伝子上の変異について、非閉塞性無精子症の患者40名を対象に調査した。その結果、さらに2名の患者において、この遺伝子上の変異が見つかった。尚、妊孕性が確認された50名においては、この遺伝子上の変異は見つからなかった。 2.MD-TESEによる精子回収予測遺伝子マーカーの同定とGWASによる予測モデル式の構築:MD-TESEが行われた患者を対象にGWASを行った。精子回収状況を調査し、精子が回収された症例と回収されなかった症例について比較解析を行った結果、いくつかの候補SNPsが抽出された。 3.GWASによる精液量、精子濃度、総精子数、運動率、総運動精子数、および精巣サイズと関連する遺伝子の同定:ビーズアレイを用いて、およそ800人の一般集団男性のSNPをタイピングし、精液検査値との関連解析を行った。関連を示したSNPについて再現性を確認するために、さらに別集団の男性を対象にタイピングを行い、関連解析を行った。現在までに精子運動率と関連するERBB4遺伝子座の同定に至っている。 4.遺伝子改変動物作製による、同定した遺伝子の精子形成機構の解析:1.で候補として挙げた遺伝子上のSNPが、分子レベルで精子形成に関与しているのかどうかを明らかにするため、遺伝子改変動物を「先端モデル動物支援プラットホーム」による支援のもと作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非閉塞性無精子症患者を対象とし、原因遺伝子の同定を進めた結果、候補変異を抽出することがでた。また、この変異が精子形成にどのように関与しているのかを解析するために遺伝子改変動物を作製することができた。MD-TESEによる精子回収を予測するモデル式を構築する研究計画においては、GWASによる候補SNPsを抽出することができた。また、GWASにより精子運動率と関連する遺伝子も同定できており、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の計画に従い、研究を実行する。 非閉塞性無精子症原因遺伝子の同定においては、さらに対象者を増やし、次世代シーケンサーを用いたエクソーム解析から、新規原因遺伝子同定を試みる。MD-TESEによる精子回収予測遺伝子マーカーの同定と予測モデル式を構築するため、今年度抽出したSNPについて、別の患者を対象に再現性の検証を行う。また、全エクソーム解析により、精子の回収ができた症例と出来なかった症例で比較解析を行い、精子回収予測遺伝子マーカーの同定を行う。GWASによる精液検査値と関連する遺伝子の同定においては、精液量、精子濃度、精巣サイズと関連する候補SNPの抽出は終わっており、今後バリデーション解析により、再現性を検証する。遺伝子改変動物作製による精子軽視機構の解析においては、現在までに作製した遺伝子改変マウスの精子形成に与える影響を解析する。また、引き続き新たな遺伝子の改変動物の作製を行う。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Association of TUSC1 and DPF3 gene polymorphisms with male infertility2018
Author(s)
Youichi Sato, Chise Hasegawa, Atsushi Tajima, Shiari Nozawa, Miki Yoshiike, Eitetsue Koh, Jiro Kanaya, Mikio Namiki, Kiyomi Matsumiya, Akira Tsujimura, Kiyoshi Komatsu, Naoki Itoh, Jiro Eguchi, Aiko Yamauchi, Teruaki Iwamoto.
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Journal Title
J Assist Reprod Genet
Volume: 32
Pages: 257-263
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] An independent validation study of three single nucleotide polymorphisms at the sex hormone-binding globulin locus for testosterone levels identified by genome-wide association studies.2017
Author(s)
Youichi Sato, Atsushi Tajima, Motoki Katsurayama, Shiari Nozawa, Miki Yoshiike, Eitetsue Koh, Jiro Kanaya, Mikio Namiki, Kiyomi Matsumiya, Akira Tsujimura, Kiyoshi Komatsu, Naoki Itoh, Jiro Eguchi, Issei Imoto, Aiko Yamauchi, Teruaki Iwamoto.
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Journal Title
Hum Reprod Open
Volume: 1
Pages: 1-8
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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