2018 Fiscal Year Annual Research Report
進化論モデルを用いた単一起源細胞から子宮癌肉腫への発生機序解明と治療法の開発
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17H04336
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
榎本 隆之 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90283754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井ノ上 逸朗 国立遺伝学研究所, ゲノム・進化研究系, 教授 (00192500)
吉原 弘祐 新潟大学, 医歯学系, 研究准教授 (40547535)
安達 聡介 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (50613147)
石黒 竜也 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (80625690)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 子宮癌肉腫 / 発生起源 / オミックスデータ / 遺伝子変異 / 融合遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、まず進化論モデルの有効性を検証するために、同一症例における正常子宮内膜・子宮内膜症・異型子宮内膜症・卵巣明細胞癌の連続的全エクソンシークエンスを施行した。遺伝子変異の頻度は、正常子宮内膜から子宮内膜症、異型内膜症、明細胞癌と進むにつれて減少していた。一方、遺伝子変異の変異アリル頻度は、正常子宮内膜から子宮内膜症、異型内膜症、明細胞癌と進展するにつれて増加していた。同定された遺伝子変異データを進化論モデルに当てはめることにより、正常子宮内膜では遺伝子変異が多様性を持って存在し、そのうち変異陽性内膜上皮が月経血逆流により腹腔内に移動後、卵巣に生着し、クローン性に増殖することで子宮内膜症を形成することが推察された。さらに、子宮内膜症上皮に癌関連遺伝子変異が蓄積していくことで、異型子宮内膜症、卵巣明細胞癌への進展することが推察され、ゲノムデータを利用した進化論的アプローチが発生起源の探索に有効であることが実証された。興味深いことに、進化論的アプローチにより、子宮内膜症から異型内膜症で留まる進化プロセスと、子宮内膜症から異型内膜症、卵巣明細胞癌へと進展する進化プロセスの2通りに進化が分かれることが明らかになった。 また子宮癌肉腫のスフェロイド樹立を進めるとともに、子宮体癌スフェロイドの生物学的特徴を明らかにするためにin vitro/vivoで実験を行った。特に癌幹細胞のマーカーと一つとされているALDH1に注目し、子宮体癌スフェロイドをALDH1高発現細胞と低発現細胞にソートすると、明らかに細胞増殖・薬剤感受性・代謝産物プロファイルに違いがあることを同定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子宮癌肉腫の発症メカニズムの検証に向け、子宮癌肉腫由来のスフェロイド樹立を進めており、複数の症例で安定培養可能なスフェロイドを樹立している。また、レーザーマイクロダイセクションによる癌部と肉腫部位の選択および核酸抽出が可能かどうか検証を行い、レーザーマイクロダイセクション法により選択的に採取されたサンプルから全エクソンシークエンス、RNAシークエンスまで実施可能であることを確認できている。また進化論的アプローチによる発生起源の推定やスフェロイドを用いた機能解析も問題なく行えることを確認しており、来年度の計画を予定通り進めることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、まず婦人科病理のエキスパートとともに子宮癌肉腫の癌部位と肉腫部位の同定を行い、確実にレーザーマイクロダイセクションで癌部位と肉腫部位を採取する。採取された組織から核酸(DNA/RNA)を抽出し、Agilent社BioAnalyzerを用いてQuality checkを行う。Agilent社SureSelect Human All Exon V6を用いてExon濃縮を行い、ライブラリー作成後Illumina HiSeq2500を用いて全エクソンシークエンス(100bp paired end)を行う予定にしている。得られたFastqファイルから独自のエクソームシークエンスデータパイプラインを用いて体細胞変異およびコピー数異常を抽出し、各サンプルの遺伝子変異プロファイル・コピー数プロファイルを同定する。これらのゲノムデータを進化論モデルにあてはめることで発生起源を推定することが可能になり、当初の研究目的を完遂できると予想される。
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[Journal Article] Novel therapeutic strategy for cervical cancer harboring FGFR3-TACC3 fusions2018
Author(s)
Tamura R, Yoshihara K, Saito T, Ishimura R, Martinez-Ledesma JE, Xin H, Ishiguro T, Mori Y, Yamawaki K, Suda K, Sato S, Itamochi H, Motoyama T, Aoki Y, Okuda S, Casingal CR, Nakaoka H, Inoue I, Verhaak RGW, Komatsu M, Enomoto T.
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Journal Title
Oncogenesis
Volume: 7
Pages: 4~4
DOI
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