2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the new periodontal ligament regeneration method based on iPS-derived neural crest cells
Project/Area Number |
17H04385
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
友清 淳 九州大学, 大学病院, 講師 (20507777)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 英史 九州大学, 歯学研究院, 教授 (10284514)
長谷川 大学 九州大学, 大学病院, 助教 (20757992)
吉田 晋一郎 九州大学, 大学病院, 助教 (30778866)
濱野 さゆり 九州大学, 歯学研究院, 助教 (40757978)
杉井 英樹 九州大学, 大学病院, 助教 (80802280)
和田 尚久 九州大学, 大学病院, 教授 (60380466)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 神経堤細胞 / 歯周組織再生 / バイオミメティクス技術 / iPS細胞 / 幹細胞 / 細胞移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周組織の再生には、歯根膜幹細胞が重要な役割を果たすことが知られている。近年、ヒトを用いた歯根膜幹細胞移植実験が行われ、移植により歯周ポケット深さ、歯周組織欠損部面積、および新生骨骨密度が有意に改善することが報告された(Shalini HS and Vandana KL. J Indian Soc Periodontol. 22, 503-512, 2018)。しかしながら、生体に存在する歯根膜幹細胞はごく少数であり、移植を行うには多大な多大な時間、設備、および人的資源を必要とする。 我々は、生体における発生過程の模倣(バイオミメティクス技術)を応用した、神経堤細胞移植による歯周組織再生誘導法の開発を目指し実験を行っている。顔面頭蓋の骨、歯および歯周組織の大部分は神経堤細胞に発生を由来するため、神経堤細胞の再生療法への応用は、歯周組織の発生を模倣した歯周組織の再生に有効であると考えられる。我々は既に、人工多能性幹細胞(iPSC)から、極めて神経堤細胞に類似した表現型を示す、神経堤細胞様細胞(iPSC-NCLC)の樹立に成功している。そこで本年度は、iPSC-NCLCをiPS細胞由来歯根膜幹細胞(iPSC-PDL)へと分化誘導する際に、主要な役割を果たすマスター遺伝子の選出、ならびにマスター遺伝子の発現を誘導するリガンド分子の選出を行い、それらのiPSC-NCLCの分化へ及ぼす影響について検討を行った。iPSC-NCLCを生体へ移植する際に、これらの因子を応用することで、iPSC-NCLCによる歯周組織発生を模倣した歯周組織再生を加速化させることができると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々はヒト人工多能性幹細胞(iPSC)から、神経堤細胞に極めて近い表現型を示すiPSC-NCLCを樹立し、さらにiPSC-NCLCを歯根膜幹細胞の表現型を示すiPSC-NCLC-PDLへ分化させる方法の確立に成功している(Hamano et al. Stem Cells Dev. 2018 Jan 15;27(2):100-111)。その結果、神経堤細胞が歯根膜幹細胞へと分化する過程における包括的な遺伝子解析が可能となった。 そこでiPSC-NCLCおよびiPSC-NCLC-PDLを用いてマイクロアレイ解析を行った結果、iPSC-NCLC-PDLにおけるCD44の発現が、iPSC-NCLCと比較して66.7倍となることが明らかとなった。CD44はhyaladherinファミリーに属する膜貫通タンパクであり、ヒアルロン酸がその代表的なリガンドとして知られている。またcanonical WNT signalに属するWNT7b, WNT8, WNT16はiPSC-NCLC-PDLにおいて減少が認められ、WNT signalのインヒビターであるDKK1, DKK2, DKK3では上昇が認められた。これらの結果は、神経堤細胞が歯根膜組織を形成するにあたり、CD44-ヒアルロン酸signalの促進が重要である一方、canonical WNT signalは抑制する必要があることを示唆するものである。現在、これらのシグナルがiPSC-NCLCの分化に及ぼす影響について実験を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
CD44-ヒアルロン酸signalの促進やcanonical WNT signalの抑制がiPSC-NCLCの分化誘導促進効果を有するかについて確認を行ったのち、動物実験モデルを用いたiPSC-NCLCの移植実験を計画している。 ヒアルロン酸は立体的に加工することも可能であり、有効な足場材となることが報告されている(Miranda DG et al. J Biomed Mater Res B Appl Biomater. 2016 Nov;104(8):1691-1702.)。またcanonical WNT signalingのインヒビターとして、XAV939やICG-001などの種々の化合物が知られている。したがって、我々は歯周組織欠損部位へiPSC-NCLCを移植する際に、ヒアルロン酸を足場とし、canonical WNT signalingのインヒビターを形態形成因子として応用する予定である。この方法により、細胞、足場材、形態形成因子の3要素、すなわちtissue engineering triadと、バイオミメティクス技術の両者を兼ね備えた歯周組織再生誘導が行えるものと推察される。
|
Research Products
(6 results)