2017 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄幹細胞由来液性因子による口腔乾燥症の新規治療法の開発
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17H04404
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山本 朗仁 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 教授 (50244083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石丸 直澄 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 教授 (60314879)
阪井 丘芳 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (90379082)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 歯髄幹細胞 / 口腔乾燥症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではヒト乳歯および永久歯歯髄幹細胞由来の分泌因子群を無血清培養上清(CM)として回収し、シェーグレン症候群や放射線照射後の急性唾液腺炎モデルマウスなどに投与して治療効果を検証する。さらに唾液腺初代培養系を用いて治療効果メカニズムを解明するとともに、口腔乾燥症に対する治療効果因子をプロテオーム解析にて同定する。口腔組織由来幹細胞の唾液腺修復・再生に与える影響を解明し、口腔乾燥症に対する新たな治療戦略の創出を目指している。 平成29年度はシェーグレン症候群疾患モデル(NFS/sldマウス)を制作し、歯髄幹細胞CMを投与した。NFS/sldマウスの唾液腺損傷程度にばらつきが大きく評価が難しかった。しかしながら概ね、CM投与群で唾液腺へのリンパ球集積等の炎症反応の軽減を確認した。唾液量の改善は確認できなかった。一方、放射線照射マウスにおいては局所照射モデルの制作を行った。照射線量を変える事で異なったレベルの唾液腺損傷モデルの制作条件を確立した。涙腺、耳下腺、顎下腺、舌下線および所属リンパ節の損傷程度を組織学的に評価、細胞死をTunel染色で評価した。さらに炎症性サイトカインの発現量を解析する事で放射線照射による唾液腺損傷レベルの評価系を確立した。唾液腺機能評価のため、唾液腺の重量、ピロカルピンで刺激したのちの唾液量を測定した。いずれの解析項目においても歯髄幹細胞CM投与群で優位に病態改善を確認した。さらに、胎生14日のマウス唾液腺を採取しオルガンカルチャーを行った。歯髄幹細胞CMで培養した唾液腺は増殖および分岐が亢進していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、以下の3項目を達成目標としている。(1)シェーグレン症候群や放射線照射に伴う唾液腺障害マウスに歯髄幹細胞CMを投与し治療効果および治癒メカニズムを検証する。(2)唾液腺初代培養を用いて、唾液腺実質細胞に対する歯髄幹細胞CMの修復・再生効果を検討する。(3)歯髄幹細胞CMのプロテオーム解析で唾液腺再生に関わる因子を同定し、因子のみでの治療効果を検証する。 これらの目標の中で(1)病態モデルの制作、評価系の確立に一定の成果が得られている。さらに初期解析レベルではあるが、歯髄幹細胞CMの治療効果を確認している。(2)の初代培養系の立ち上げに成功した。当初、放射線照射マウスを用いた解析や初代培養系を用いた実験は平成30年度の研究計画であった。本研究課題の進捗状況は概ね順調と自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
石丸らはシェーグレン症候群疾患モデル(NFS/sldマウス、aly/alyマウス、RbAp48TGマウス、アロマターゼKOマウスなど)を開発・解析し、T・B細胞を中心とした分化異常が自己免疫疾患の発症に関与することを明らかにしてきた。これまでNFS/sldマウスを使用してきたが、他のモデルマウスについても検討を開始する。放射線照射モデルでは高線量照射と同時に治療介入を開始しており、唾液腺再生というより損傷予防的な効果の評価系となっている。今後、低線量モデルを制作し、唾液腺損傷後一ヶ月の時間をおいてから治療介入を行う事で、歯髄幹細胞CMの唾液腺再生効果を評価する。初代培養系では歯髄幹細胞CMのいかなる成分が唾液腺原基の増殖分化に関わるか明らかにする。また近年、成人唾液腺から唾液腺幹細胞が採取可能であることが報告されており、歯髄幹細胞CMが唾液腺幹細胞に与える影響を解析する。
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