2020 Fiscal Year Annual Research Report
運動器疾患治療のための中枢・末梢機能の活性化を担う分子基盤の解明と治療法の開発
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17H04409
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 毅 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (60406494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼井 通彦 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (10453630)
古株 彰一郎 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (30448899)
有吉 渉 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (40405551)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨形成促進薬 / Tas1r3 / 骨芽細胞特異的 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、骨粗しょう症に対する治療薬のほとんどは骨吸収抑制剤であり、骨形成促進剤に関しては唯一PTH製剤が使用されているだけである。さらに骨吸収抑制であるビスホスホネートの使用により骨のマイクロダメージが引き起こされ、結果として骨折を引き起こすケースや顎骨壊死の発症に関与することが明らかとなり、新たな骨形成促進薬の開発が急務である。Tas1r3は口腔粘膜の味蕾に発現し、甘味とうま味を受容するGタンパク共益型受容体として発見された。近年このTas1r3が口腔粘膜以外のさまざまな組織に発現し、栄養(糖質・アミノ酸)センサーとして機能していることが明らかになってきた。そこで本研究では骨組織に発現するTas1r3の役割を検討した。Tas1r3 floxマウスの大腿骨と脛骨の骨髄から骨髄間質細胞(BMSCs)を採取した。Creリコンビナーゼはアデノウイルスを用いて導入した。マウス前骨芽細胞株MC3T3-E1細胞はsiRNAを用いて内在性のTas1r3をノックダウンした。骨芽細胞分化はBMP-4処理やアスコルビン酸およびβ-グリセロリン酸処理で誘導し、ALP活性およびアリザリンレッド染色で評価した。Tas1r3のmRNA量はリアルタイムPCR法で定量した。BMSCsの骨芽細胞分化に伴いTas1r3のmRNA量が上昇した。Creリコンビナーゼ感染によりTas1r3をノックアウトしたBMSCsではALP活性やアリザリンレッド染色の染色性が低下した。siRNAを導入してTas1r1をノックダウンしたMC3T3-E1細胞では細胞増殖能やBMP-4で誘導したALP活性が著明低下した。骨芽細胞局所に発現している栄養センサーが骨形成に必須の役割を果たしている可能性が示唆された。今後、骨芽細胞特異的Tas1r1のノックアウトマウスを用いることで、甘味とうま味受容体の役割を区別していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Tas1r3の骨芽細胞における役割について、in vitroならびにin vivoでの解析がすすんでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
骨細胞株MLO-Y4においてCRISPR-Cas9によるゲノム編集を用いてAuts2遺伝子をノックアウトした細胞を作製する予定である。骨細胞におけるAuts2遺伝子の役割を解明していく。
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