2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of time controlled therapy for aged periodontal tissue.
Project/Area Number |
17H04416
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山下 元三 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (90524984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 伸也 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (70239490)
山田 聡 東北大学, 歯学研究科, 教授 (40359849)
北垣 次郎太 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (90570292)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 歯周病 / 細胞老化 / MicroRNAs / インフラマエイジング |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者の歯周病における組織の破壊、治癒不全の原因の一つとして、歯根膜の細胞レベルの老化が考えられる。本研究では、歯周組織の“老化細胞”の遺伝子発現テータベースを加齢の時間軸に沿って構築する事で炎症に関わるmiRNAsを同定し、歯周病の発症、進行過程における細胞老化の意義を加齢性の炎症に焦点をあて分子レベルで解明する。その為に、平成29年度は、歯周組織構成細胞の時間軸に沿って進行する細胞の老化過程の各階層におけるオミクス解析を実施し、細胞老化に特異的なmiRNAs群の同定を試みた。まず、歯周組織の再生、修復の中心となる歯根膜細胞の初代培養細胞を用いて、in vitro複製老化モデルを構築した。次に、細胞老化の異なる時間軸において歯根膜細胞のmiRNAs、mRNAs発現のトランスクリフトーム解析、培養上清中の分泌蛋白のフロテオーム解析を行った。得られたデータより、IPA解析を応用し、それらオミクスのネットワークについて階層解析(トランスオミクス解析)を実施した。実際に、老化歯根膜細胞に特異的に発現が増加していたmiRNAs群を人工合成し、合成oligosを正常歯根膜細胞に導入、炎症性サイトカイン、 細胞外基質産生、硬組織形成細胞への分化能、活性酸素種産生に及ぼす影響を解析した。さらには、老化歯根膜細胞に対して、次世代型シークエンスを用いたRNA-seqを実施したことより、遺伝子プロモーター領域のDNAメチル化データを比較参照することで、より詳細な解析を予定している。また、他の歯周組織構成細胞として歯肉線維芽細胞、間葉系幹細胞の特徴を有する毛細血管周囲の周皮細胞、幹細胞移植への応用が期待される脂肪組織幹細胞の培養には成功していることから、上記の実験系を応用していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高齢者の歯周病における組織の破壊、治癒不全の原因の一つとして、歯根膜の細胞レベルの老化が考えられる。その解明には、加齢の時間軸に沿って炎症に関わるmiRNAsを同定し、歯周病の発症、進行過程における細胞老化の意義を加齢性の炎症に焦点をあて分子レベルで解析することが必要である。本研究では、歯周組織の“老化細胞”の遺伝子発現テータベースを加齢の時間軸に沿って構築することが、研究実施の基盤となる。 その為に、平成29年度は、歯周組織構成細胞の時間軸に沿って進行する細胞の老化過程の各階層におけるオミクス解析を実施し、細胞老化に特異的なmiRNAs群の同定を試みた。歯周組織の再生、修復の中心となる歯根膜細胞の初代培養細胞を用いて、in vitro複製老化モデルを構築に成功した。オミクス解析を行うことによって、細胞老化に特異的なmiRNAs群の同定に成功した。実際に、歯周組織構成細胞に、同定された老化歯根膜細胞特異的miRNAsの候補遺伝子を遺伝子導入し、炎症性サイトカイン、細胞外基質産生、幹細胞能に及ぼす影響を解析し、その生理的役割を検討した。上述の研究成果により、他の歯周組織構成細胞として歯肉線維芽細胞、間葉系幹細胞の特徴を有する毛細血管周囲の周皮細胞、幹細胞移植への応用が期待される脂肪組織幹細胞のin vitro 細胞老化誘導系の樹立、歯周組織細胞老化関連遺伝子探索が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、平成29年度の研究課題を継続するとともに、他の歯周組織構成細胞として歯肉線維芽細胞、間葉系幹細胞の特徴を有する毛細血管周囲の周皮細胞、幹細胞移植への応用が期待される脂肪組織幹細胞のin vitro 細胞老化誘導系を樹立し、上記の実験系を応用していく予定である。また、以下のin vivo動物モデルを用いた研究課題を展開する。生体内での歯周組織の老化と慢性炎症におけるmiRNAsの生理作用を検討する為に、老齢マウスを用いたP.g.菌感染歯周炎モデルを作成し、その病態生理の解析を行う。78週齢C57BL/6J-Agedマウスの歯周組織にP.g.菌を感染、5-0絹糸を結紮することでマウス歯周炎モデルを構築する。絹糸を結紮1週間後に、顎骨をマイクロCTを計測する。歯周組織切片を作製し、SA-betaGALならびに特異抗体を用いた免疫組織学的解析する事で、細菌感染由来の歯周組織の炎症過程における老化歯周組織の病態像を検討する。反対側の組織をDEPC処理、in situ hybridization にて老化特異miRNAsと炎症に関するmRNAの発現量をモニタリングすることで歯周組織のmiRNAs依存性の老化性炎症の解析を行う。8週齢C57BL/6Jマウスに同様の実験を行いコントロールとする。また、細菌感染の影響が少ない歯周組織炎症(咬合性外傷)を想定し、抗生剤を投与した78週齢C57BL/6J-Agedマウスに5-0絹糸を結紮することで歯周炎モデルを構築し、同様の解析を行う。78週齢の歯周病モデルマウスの病理解析の報告は稀であり、また、絹糸を除去1週間後の観察の実施により、老齢個体の修復,治癒過程に及ぼすmiRNAsの役割が解析可能と予測している。
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